Quantcast
Channel: ◆渡辺正弘のセレクトニュース◆
Viewing all 1779 articles
Browse latest View live

VRがビジネスを変える?VRを活用した新サービスの事例まとめ

$
0
0
最近ニュースでよく目にするVR。ゲームなどエンタメ用途で使うものという印象が強いかもしれませんが、VRを用いたサービスを導入し、ビジネスに活用しようと試みる企業も増えてきてます。分野は不動産、観光、ショッピングなどさまざまです。

そこで今回は、VRを活用したサービスなど、国内や世界でVRをビジネスに導入した事例をBtoC(消費者・個人向け)ビジネスを中心にまとめました。

完成前に部屋を内覧! 不動産・建築業界とVR

特にVRのビジネス活用が盛んなのは不動産・建築業界です。不動産・建築業界では以前から、まだできていない建築や部屋の様子を表現するためにCGが使われてきましたが、VRを使えば実際にCG空間に入ることができるので、従来よりもわかりやすく、仕上がりを体験することができるためです。

たとえば、注文住宅やリフォーム後の部屋のイメージをVR空間上に再現して、実際に注文する前に内覧ができるサービスなどが実用化されています。

不動産内覧時にリフォーム後の部屋をVR体験 「中古ミテクレ」



株式会社リニューアルストアの「中古ミテクレ」は、中古マンションや中古住宅のリフォーム後がバーチャル体験できるサービスです。リフォーム前の物件を内見・内覧するときに、VRHMD(VRヘッドマウントディスプレイ)をかぶると、リフォーム後の様子を確認できるというもの。現在は愛知県や大阪府の物件でサービスが提供されています。

不動産内覧時にリフォーム後をVR体験できる「中古ミテクレ」がローンチ

新築マンションの3Dモデルルームを体験! スーモスコープ



株式会社リクルート住まいカンパニーは、新築マンション情報誌「SUUMO新築マンション首都圏版」(無料)2016年8月2日(火)発行号に、Google Cardboardの技術を活用したVRゴーグル「スーモスコープ」を付録として綴じ込みました。スマホアプリの「スーモアプリ」と組み合わせることで、新築マンションの3Dモデルルームを自宅にいながら内覧する体験ができます。

VRで家具などの設置をシミュレーション イケアなど

家具メーカー・イケアは、VR内でキッチンのショールームを見ることができるアプリ「IKEA VR Experience」を無料で試験的に公開しています。




対応するVRHMDはHTC Vive。最大4m×3mの空間を歩くことができるというHTC Viveの特徴を生かし、VR内で現実と同じ背の高さでショールームを歩くことができます。また、瞬時にキッチンのデザインを模様替えしたり、身長の設定を変更したりすることも可能です。

イケア、HTC Viveで体験するキッチンのVRショールームを実験的に公開。フィードバックを募集

このほか、開発中のVR対応サービスとして、フィンランドのVividWorks Ltd.の「VividHQR」があります。商品やインテリア空間を実物サイズでデザインすることができ、ショールーム、営業所や展示会などでの利用が想定されています。正式発売は2017年第一四半期を予定。

VRで家具などの設置をシミュレーションできるサービスが発表

360度動画で観光名所をPR! 観光業界とVR

観光もVRの活用が広がっているビジネス分野のひとつです。観光名所をPRする360度動画や遠隔海外旅行サービスなど、すでに数多くの事例があります。

360度動画で各地の観光名所をPR エイチ・アイ・エスほか



株式会社エイチ・アイ・エスが今月名古屋にオープンしたH.I.S.栄本店は、VRで旅行の下見ができるコーナーを併設しています。

栄本店で体験できるVRコンテンツは3つ。ひとつは、ハワイ専門デスクに設けられた、ハワイの旅行先のホテルの部屋の下見をVRで体験できるコーナーです。さまざまなタイプの部屋からの眺望や室内の様子、ホテルの施設などを360度カメラで撮影した映像を見ることで、楽しみながら具体的なプランを選ぶことができます。

国内旅行フロアでは、長崎のハウステンボスと愛知のラグーナテンボスのVR体験が可能。園内の様子をリアルタイム中継するなどの取り組みも行います。

H.I.S、名古屋栄本店で旅行の下見ができるVR体験を導入

このほか、9月に開催された「ツーリズムEXPOジャパン2016」では、各地の観光名所をPRする360度動画が国内外から出展されていました。地方のお祭りを360度動画で体験できるブースのほか、空港の利便性をバーチャル旅行体験で紹介するブースもありました。

【体験レポ】 360度動画で国内外の観光名所を体験!ツーリズムEXPOジャパン2016

360度動画で遠隔海外旅行サービス KDDIほか



KDDI株式会社と株式会社ナビタイムジャパンは、KDDIが取り組む「SYNC PROJECT」で、VRを活用したリアルタイム遠隔海外旅行サービス「SYNC TRAVEL」を11月3日~4日の期間限定で提供しました。

サービスが提供される会場にて、VRゴーグルと現地ガイドが持つ360度カメラをリアルタイムで接続します。ガイドを通じて、観光スポットを巡って旅行先の人々とのコミュニケーションを楽しむことができ、見えている風景を写真で撮影したり、お土産を選んで日本で受け取ることができます。

KDDI、VRを活用した遠隔海外旅行サービスを期間限定で提供



また、外出ができないお年寄りの方々向けに360度動画・静止画による疑似的な世界一周旅行を楽しんでもらう取り組みも進められています。介護施設で働いている登嶋健太氏によるもの。

現在は第2回のプロジェクトが進行中。10月にクラウドファンディングで資金を募っており、第1回に続き目標金額を達成しています。

お年寄りに360度動画で世界旅行を クラウドファンディングが開始

試乗体験や、VRショールームも! 自動車業界とVR

店舗やモーターショーの車を試乗体験!? ジャガー、ランボルギーニなど



イギリス自動車メーカー・ジャガーは、正規ディーラー各店舗でVRHMDのOculus Riftを用いてバーチャル試乗体験ができる「ジャガー・バーチャル・ドライブ」および「ランドローバー・バーチャル・ドライブ」を提供し、VRをプロモーションに活用しています(制作:カディンチェ株式会社)。新型サルーン「XE」の試乗体験では、なんと錦織圭選手の運転する新型XEの助手席に乗ってドライブデートができます。

【体験レポ】錦織圭選手とスポーツカーでバーチャル・ドライブを体験してきました



イタリア自動車メーカー・ランボルギーニは、2015年3月にイタリアで開催されたモーターショーで、展示されている車にVRを利用して試乗できるコンテンツを提供しました。

用意されたVRコンテンツは、 Huracán という車種の助手席に乗り、コースを1周回るというものです。展示されている Huracán の助手席に実際に乗って体験することができます。

Gear VRと360度動画を使ったランボルギーニの取組。モーターショーでリアルな乗車体験を。

車のVRショールームを販売代理店へ アウディ



自動車メーカーのアウディは、VRを活用したショールームのプロジェクトを進めており、近日中にも各地の販売代理店に展開すると発表しています。

Oculus RiftやHTC Viveを用いて自由に車を見回し、モデルやカラー、オプションや車を置く環境を好きに組み合わせ、内装まで自由にチェックできるというもの。アプリとして配信されるのではなく、各地の店舗・オフィスに設置予定です。アウディのVRショールームによって、「狭いスペース」で、「多くの組み合わせ」を、目で見て確認できる、新しい販売体験が実現するでしょう。

アウディ、VRショールームを販売代理店へ展開予定

自宅で車を体感できるVRアプリ 「SUBARU体感360°」「RelayCars」

実店舗に行かなくても車の新機能などを体感できるコンテンツも開発されています。自動車メーカーのスバルは、スマホ向けに、自社製品を360度映像で体感できるアプリ「SUBARU体感360°」を配信中です。

現在体験できるのは、ぶつからないクルマ?でおなじみのスバルの機能「アイサイト」をバーチャル試乗体験できる「体感!アイサイト」、2016年秋に発売のNewインプレッサのインテリアを360度映像で体感できる「体感!New インプレッサ インテリア」です。

スバル、ぶつからないクルマなどを体感できるスマホVRアプリ「SUBARU体感360°」を配信開始



また、Gear VR向けに高級車のショールームアプリ「RelayCars」が配信されています(開発:Evox Images)。Evox Imagesは現実のショールームに代替することを狙っており、近々、車種を1,000種以上にまで広げ検索機能などを強化するとしています。

車のVRショールーム『RelayCars』50万DLを突破

VRで結婚式会場を下見! ウェディング業界とVR

ワタベウェディング株式会社は、リゾートウェディングの魅力を体験できる「リゾ婚 cafe」を8月4日から9月3日までの期間限定でオープンしました。モバイルメーカーのGalaxyとコラボレーションし、Gear VRを使って渋谷にいながらハワイウェディングを体験することができたものです。

結婚式の準備といえば、何度も会場を下見にいくもの。ハワイでの挙式となると、何度も足を運んで下見をするということが難しくなりますが、結婚式やチャペルの様子をVRコンテンツとして作ることで、日本にいながらハワイのチャペルを何度も下見・疑似体験することができるようになるのです。

もう何度も下見しなくても安心? 『リゾ婚 cafe』でハワイでの結婚式をVR体験

衣服やブランドの世界観をVRで体験! ファッション業界とVR

ファッションに特化したVRショッピングサービス「STYLY」



伊勢丹新宿店は、ファッションVRサービスが体験できるイベントを開催してきました。2015年12月から翌年1月にかけての「ようこそ、ISETAN宇宙支店へ ~わたしたちの未来の百貨店~」と、今年7月から8月にかけての「PITTI IMMAGINE UOMO at ISETAN MEN’S」です。

これらのイベントで活用されたのが、Psychic VR Labの提供する、VRを使用したファッションに特化したショッピングサービス「STYLY」(2016年度にβ版サービス公開予定)。高精度3Dスキャン技術により、細部まで商品の立体表現が可能です。そのため、VRヘッドセットを使用すると、実際に商品が目の前にあるかのように体験できます。また、「PITTI IMMAGINE UOMO at ISETAN MEN’S」では、その衣服が生まれた場所や生産者に関する記憶も映像で体験することができました。

【体験レポ】 新宿伊勢丹でVRが変える未来のショッピングを体感してきた

VRでブランドの世界観を体験 TARA JARMON、ユナイテッドアローズ

パリのファッションブランド「TARA JARMON」は、今年9月に開いたポップアップストアで、最新コレクションの世界観を3次元で体験できる「VRギャラリー」を併設。VRを用いることで、洋服を眺めるだけではない新しい体験型ポップアップストアとなっていました。

VRから売り場への効果的な導入 イトキンの期間限定店舗でブランドのイメージを“体験”

また、ファッションブランドの店舗の魅力を360度映像アプリで体験してもらうという形のプロモーションも行われています。「UNITED ARROWS」は、今年9月にリニューアルオープンした六本木ヒルズ店をバーチャル体験できる360度映像アプリを配信中です。

ユナイテッドアローズの店を体験できる360度映像アプリが配信

VRHMDを外さずに決済まで! VRショッピングサービス

ショールームを見てまわるだけでなく、VR空間のなかで購入までできるショッピングサービスも海外では始まっています。

オーストラリアで開店、eBayのVRデパート



今年5月、世界初のVRショッピングモールを開いたのは、大手ECサービスを運営するeBay。スマホ上で専用のアプリを起動し、Google CardboardなどのVRHMDで見て利用します。商品を3Dで見ることができ、VR空間にいるまま購入できます。ただし、現在のところ利用できる地域はオーストラリアのみです。

EC大手eBay、オーストラリアで最大の百貨店と世界初のVRショッピングサービスを開始

VRHMDを着けたまま支払いまで 中国・アリババの「VRペイ」



また、10月には中国の電子商取引最大手であるアリババ・グループ・ホールディング傘下のオンライン決済サービス会社アント・フィナンシャルが、VRHMDを装着したままVR内で買い物を行うことができる新決済システム「VRペイ」を発表しました。

VRHMDを外さずに買い物 中国・アリババ子会社、新決済システム「VRペイ」を発表

日本では会話機能付きVRショッピングサービスが開始へ

日本では、メディア型ECモール「kabukiペディア」を運営する株式会社KABUKIが、スマホを利用したVRショッピングサービス「VR Shopping with Voice Chat」を随時提供開始します。遠方にいる離れたユーザーどうしで「おしゃべり」をしながらショッピングが楽しめる、世界初の会話機能を搭載している点が特徴です。現在はアプリ申請中とのこと。

今後ますます広がるVRのビジネスへの導入

アメリカの大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、2025年時点でのVR/ARの市場規模を予測しています。やはりゲーム用途での利用が最も多い(116億ドル)ものの、ヘルスケア、エンジニアリング、不動産、小売などのゲーム以外の用途は全体で234億ドルにものぼりゲームを上回るのです。

今回まとめた事例のように、VRを活用したサービスは今後も幅広い業界で導入され、消費者への新しいアプローチの形を広げていくのではないでしょうか。




ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
京都・宇治・お茶の森半





“10兆円ファンド”の設立は第一弾 ソフトバンク2.0を加速させる、孫正義の世界戦略

$
0
0


2016年11月7日に行われた、ソフトバンクグループ株式会社2017年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。


トピックス一覧

アリババ株は1株も売りたくなかった

シンギュラリティによる産業の再定義

10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドを設立


アリババ株は1株も売りたくなかった

孫正義氏 私はソフトバンク2.0の第1弾として、なぜソフトバンクがSupercellの株を売却し、ガンホーの株も大半売却し、売りたくないアリババの株も一部売却してまで、ARMの投資にいったかというのは、これからやってくるソフトバンク2.0、これからやってくる重要なパラダイムシフト。

それはこのあと説明しますけど、そのちょっと手前で、なぜアリババを売りたくなかったのか、ということをもう1回再認識の上で、このグラフを確認していただきたいと思います。





もう時価総額は、日本で一番大きな会社トヨタを抜いています。すでに時価総額でトヨタを抜いた、20数兆円という規模のアリババですが、この1年間で売上が55パーセント伸びています。

純利益も直近の3ヶ月で、日本円で2,000億です。3ヶ月で2,000億円ですよ。しかも、それが前年対比41パーセント伸びていると。



アリババは決してまだ収穫期に入っているのではなくて、ものすごい先行投資をたくさんしています。Ali CloudやAnt Financial、Alipayなど、いろんなものにどんどん先行投資をしています。

にもかかわらず、まだ収穫期に入っていないのに、純利益の絶対額で3ヶ月で2,000億円のところまできてる。かつ、それが41パーセント伸びている。

だから、本当はアリババ株はまだ1株も売りたくなかったと。でも、それを一部売ってでも……まだ7〜8兆円分持っていますけれども。

シンギュラリティによる産業の再定義

約1兆円分のアリババ株を売ってでもやりたかった、ソフトバンク2.0。それは何かというと、これからやってくる成長戦略を加速させるため、ソフトバンク2.0に突入するためであります。

なぜそこに向かうのかというと、私に感じている、私には見えているビジョンがあると。多くの人が賛成するかどうかは別として、少なくとも私はこれに今すぐ本気で取り組まなければいけないと思ってることがあります。それはSingularityであります。



私は今まで何度か公の場で言葉として触れさせていただきましたが、Singularity、超知性。コンピュータの知的能力が人間の知的能力を圧倒的に超えていくと。その時がもう目の前に迫っているということであります。

一部のテーマではもう超えてきましたよね。将棋・囲碁・チェス、これは人間の知恵・知能をコンピュータの知能が越えてしまったわけですね。

でも、これが天気予報だとかチェスとか囲碁とか、そういう世界だけではなくて、さまざまな分野でこれが起き始めるということですね。Singularityが超知性として人類の知能を超えていくと。

そうすると、すべての産業が再定義されるということです。産業革命によってそれまでの産業が、農業も、そして手作業でやってた手工業、こういうものが全部、産業革命によって、エネルギーが入って、動力が入って、そして再定義されたわけですね。




乗り物の世界で言えば、人力車があったわけですよね。人間が手で引っ張ってたわけです。これが、エンジンという動力というもので、人力を越えて、はるかに速く、はるかに遠くに運ぶことができるようになったわけですよね。

これは産業革命ですけど、情報革命においては、人力車が人力で引っ張って人を運んでいたよりも、動力で速く遠くに運べることになったように、人力で考えるというよりも、マイクロコンピュータの力を使って考えたほうが、はるかに速く、はるかに正確に、はるかに遠くに人々の生活に影響を与える、生産性を改善させる。そういう時代が目の前にきている。

それによって、あらゆる産業が再定義されることになる。再発明されることになる。

Uberなんかも(再定義の)1つの事例ですよね。Airbnbなんかもきています。FinTechもさまざまな分野で金融が再定義されるでしょう。

電話も、スティーブ・ジョブズによって、今までは「もしもし」「はいはい」という電話が、モバイル・インターネットというかたちで、スマートフォンということで再定義・再発明されました。

彼は電話を再発明するということで発表しました。まさに一瞬で、人々のライフスタイルが変わり、Appleは世界最大の時価総額の会社に生まれ変わりました。

倒産寸前だったAppleが生まれ変わったわけですよね。このような現象が、さまざまな産業でドミノ倒しのように起きていくということであります。

これは1つのテーマ、1つのテクノロジー、1つのビジネスモデルだけでやっても間に合わないくらいの大きな根源的革命であると。産業革命をはるかに越える革命が、このシンギュラリティ、情報革命によってなされる。

その人類史上最大のプロジェクトそれをやるのに、我々が1社で農耕作業のように1箇所だけを耕し続けて、1箇所だけ種を一生懸命蒔いて育てるだけでは間に合わないと。

それほど大きな革命が目の前に起きているということを私は感じているわけです。それで、今までも私の過ぎ去りし、遅々として小さな耕しをやっていた自らを大いに反省し、ソフトバンク2.0に打って出るということを決めたわけです。その第一弾がARMでした。


10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドを設立


しかし、人類史上最大のプロジェクトに我々が取り組むにしても問題がありました。

それは何かというと、みなさんも何度も耳にしたと思います。何度も一緒に怖がったんじゃないかと思います。

「ソフトバンクは借金が多すぎる」「やる気はいいけど、借金が多すぎるじゃないか」ということであります。それでは、借金を増やさずに、この革命にどう取り組むのかということで考え続けました。

その答えが「SoftBank Vision Fund」ということであります。

ソフトバンク2.0の1発目のARMを買っただけで、我々の借金が4.0倍を越えるところまできてしまったと。ボーダフォンジャパンを買ったときは、6.5倍くらいまでいったんですよ。

それがいったんグーっと下がり始めて、もう1回Sprintの買収、そしてARMの買収ということで、我々の償却前の利益に対して負債が4.0のところまで上がったと。

それ以上さらに負債を増やして、(ソフトバンク)2.0に取り組むわけにはいかない、「ではどうすればいいのか?」ということで、もちろんさっき言いましたように、我々が真面目にコツコツと耕している通信事業は年間6,000億円規模のフリーキャッシュフローが出ています。

(しかし)その程度のお金では間に合わない、足りないと。その程度ではこの2.0の革命期には間に合わないということで加速する、でもバランスは逆に4.0の借り入れを3.0まで減らすと。バランスを改善し、でも攻めると。守りをより固めて、攻めると。そのための答えがソフトバンク・ビジョン・ファンドです。




規模は10兆円です。この10兆円という規模は、中国が主導して作ったAIIBの資本金が確か10兆円くらいだったんじゃないかと思います。

10兆円というと、アメリカのすべてのベンチャーキャピタルが、この直近2年半で調達した資金の合計の2.5年分であります。その規模のお金、10兆円分を我々がすべて準備するということであります。

今まで世界中であったプライベートエクイティの投資ファンド、これの一番大きかった投資ファンドの調達金額の4~5倍程度ということであります。規模はどうでもいいんですけれども、さはさりながら10兆円ということです。

それで私に言わせれば、「これは第一弾だ」ということを、ここで少し大ぼらを吹いておきます。これは入り口であるということであります。

とりあえず第一弾のこの10兆円を無事成功させないといけませんけれども、我々がこの10兆円の2.5兆円分を自らの資金として出します。

パートナーとして賛同してくれたのがサウジ(アラビア)であります。サウジアラビアの政府の投資部門、パブリック・インベストメント・ファンドということでこのPIFは、サウジの国家としての資金を我々に4.5兆円賛同してくれることになりました。

残り3兆円についても、複数のソブリンファンドと話をしていますけれども、大変強い関心をいただいております。一応10兆円は調達できると思います。

インターネット企業への投資実績

ちなみに我々の実績ですけど、先ほど言いましたように、畑仕事のように、自らの畑をしっかりと真面目に耕していくという事業は、国内だけで税引き後・設備投資後のフリーキャッシュフローとして年間6,000億収穫できるようになりました。



一方、投資事業に対するリターンは44パーセントということでありました。この44パーセントは直近の18年間の実績であります。直近の18年間、インターネット関連の企業に対して、投資をしていくらリターンを得たかというと、44パーセントと。これは2年で倍、2年ごとに倍倍々をずっと続けてきたということであります。

ではこのなかで、「アリババが大成功したからだろう」と。確かにアリババは額として大成功した。実は(投資収益)率はアリババではないんですけど、額としてはアリババが一番大きかったと。

では、「アリババを外して計算したらこの44パーセントはいくらになるの?」と質問を受けることがあります。実際に調べてみました。

そうすると、アリババを除くと43パーセントでした。つまり、ソフトバンクはアリババの成功がなくても、44パーセントではなくて、43パーセントの実績であったということであります。



これらは、「小さい会社に投資したからリターンが大きかったんだろう」と言われることがあります。

じゃあ、通信の会社を入れるとどうかと。私が重荷であったというスプリント、そしてボーダフォンジャパンを足して計算し直すと、投資した額が3兆円でリターンが20兆円ということで、3兆円投資してリターンとして20兆円を得たと。

この額の規模、そしてこの率というのは、おそらく聞いたことのないレベルだろうということで調べてみました。

これは18年間。3年間とかではなくて、数百億円ではなくて、20兆円のリターンを得たということでの18年間での実績ですけれども、この直近の18年間、世界でトップ10ぐらいの大きな世界中の投資ファンドを調べてみました。



名前を挙げるといろいろ差しさわりがありそうなので、あえてファンドA・B・Cと名前をつけさせてもらいましたけど、彼らは10〜15パーセントぐらいの投資収益率でありました。我々の44パーセントというのは、圧倒的なレベルでありました。

「もしかして」ということで調べてみた結果、これであったということで、我々は投資に対してのリターンも十分いけたんではないかと。

今後の財務方針

したがって、このソフトバンク2.0において、シンギュラリティ。この目の前にやってきているもっとも大きな人類史上最大のチャンスに対して打って出るということで、最初に呼応してくれたパートナー、サウジの若きリーダーである彼が、「マサ、わかった、やろう」ということで非常に意気投合しまして、合意してくれたということであります。



先月、彼と直接、覚書を調印させていただいたということであります。彼自身もソフトバンク、ぜひパートナーとしてやっていこうということでありました。

結論を申し上げます。ソフトバンクは守りを固めます。4.0倍まできた我々の負債の比率を3.5倍まで改善します。さらに、そのあとはもっと改善します。

というのは、今後は数百億円以上の投資は、原則としてこの投資ファンドから投資すると。ソフトバンク本体に対してはノンリコースです。ですから、リスクが本体に及ばないと。よりしっかりと守りを固めると。

今後ソフトバンクは、大きな投資は借金を増やして投資するのではなくて、投資ファンドということで、パートナーから資金を募り、パートナーから成功報酬をもらいながら投資を続けていくというかたちでやっていきます。ですから、ソフトバンクはバランスシートは必ず改善すると。



なぜなら、年間6,000億のフリーキャッシュフローがあって、新たな投資は原則としてこの投資ファンドでやるということは、借入の比率はおのずと自然体で確実に改善するということを意味するわけですね。構造的にソフトバンクのバランスシートは改善するということであります。

したがって、我々は、目の前にやってきた人類史上最大のチャンス。シンギュラリティを迎えるにおいて、我々は世界的戦略でより安全を増しながら攻めていく構えを作ったということでございます。

これまでの反省を込めて、ソフトバンク2.0に向かっていきたいと思います。以上です。よろしくお願いいたします。




たくさんのブログの中から、ご覧いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
白い食器のお店M’home style





仏ヴァレオ、次世代車載センサーを量産

$
0
0



 自動車部品大手の仏ヴァレオは自動運転に必要な次世代の車載センサーを2017年から量産する。乗用車を200メートル先、歩行者を50メートル先から数センチの精度で識別できるセンサーで日本の自動車メーカーにも提案する。市街地の運転支援でカギとなるセンサーシステムで日本市場の販路を広げる。

 量産する「SCALA(スカラ)」はレーザー光を使ったセンサーで、バンパーに埋め込んで周囲を把握する。欧州では独アウディの採用が決まっており、ドイツ南部の工場で量産する。

 ヴァレオはこのスカラを搭載した試験車をつくばテクノセンター(茨城県つくば市)に導入した。車の四方にレーザーを積んで周囲360度の状況を把握するシステムとして、日本の自動車メーカーに提案する。

 障害物が多い一般道路での自動運転には、障害物や自車の位置を正確に把握できる車載センサーが不可欠となる。ヴァレオは量産体制で先行。日本での研究開発のスタッフも増員しており、自動運転の導入に積極的な日本車での採用をめざす。



いつもご覧頂きましてありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
FOBGOODS



日本の薬局に「行く」ことも可能!アリババがリリースしたVRショッピング機能がスゴい―中国紙

$
0
0



アリババはこのほどVRショッピングの「Buy+チャンネル」応用をリリースした。通常のネットショッピングならば文字、写真、評価を参考にして買い物をするが、VRショッピングはその場にいるのと同じように商品を見ながら購入できる。このスタイルは人々の生活に進出してきている。北京日報が伝えた。

「Buy+チャンネル」とは、実際のショッピングシーンと各国のランドマークを再現し、VRと現実のシーンを結びつけたショッピングルートのことだ。アリババがリリースしたVRショッピングは、世界的に有名な8つの会場(米国のメイシーズ、ターゲット、コストコ、日本のマツモトキヨシ、秋葉原のアニメ店、豪州最大のドラッグストアなど)を目的地とする。



消費者はまず携帯電話で「手機淘宝」というアプリを起動し、その中の「我的淘宝」から「VRショッピング」を選択すると、自宅のリビングのような部屋に入ることができる。壁に掛かった各国の写真、例えば日本の写真を選択すると、数秒後には日本の街頭にあるドラッグストアに実際に来店したような光景が広がる。店に入ると、携帯の画面には実際の商品棚が表示され、まるで店で買い物しているかのような感覚になる。さらに棚のフェイスパックを選択すると、画面にこのパックの360度の写真、商品の詳細情報が表示される。



アリババのデータによると、VRショッピングがリリースされてから最初の1時間で、消費者約3万人がVRゴーグルで体験した。うち6割が30歳以下の若者で、杭州市、北京市、上海市のユーザーがこの新しいショッピング体験に最も意欲的だという。



ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
澤井珈琲Beans&Leaf



30代以下が頼りにしなくなったテレビの危機

$
0
0
頼りにするメディアは何ですか?


メディア世代間ギャップは確実に進んでいる

「テレビの見られ方が変わってきた」

ローソン広告販促部の庄司考志マネージャーは、2014年頃からそうした“変調”を感じ始めていた。話題性を喚起するようなテレビCMを仕掛けても、従来通りの反応が得られない。

テレビCMは打たず、YouTube動画で勝負

今年4月に発売した「でからあげクン 夢のミックス味」。人気商品の「からあげくん」よりも大きめのサイズで3つの味を組み合わせた数量限定商品として展開するに当たり、ローソンは、あえてテレビ広告を打たずに若者層をターゲットに絞って動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)にネット動画を配信した。するとSNSで一気に拡散され、想定以上の反響が得られた。7月にはからあげくんと女性2人組ユニット「まこみな」がコラボレーションしたキャンペーンも実施したが、これもネットのみの展開だ。

ローソンにとって、テレビ広告も重要な媒体であることに変わりはない。「最近は主婦層やシニア層を対象にした内容を意識して、夕方の時間帯に流している」(庄司氏)。日本全国のローソン加盟店1万2000店に商品を仕入れてもらうためにも、マスメディアとしてのテレビ広告の訴求力は魅力的だ。目的や商品に合わせて、テレビとネットを巧みに使い分けているという。

週刊東洋経済は11月14日発売号で『そのメディアにおカネを払いますか?』を特集。有料メディアの攻防や増殖する広告メディアなど、新聞、テレビ、ネットメディアの最前線を追っている。

「今やテレビの主な視聴者は50代以上。若者のテレビ離れは深刻」と複数のテレビ局関係者は口をそろえる。それを裏付けるようなデータもある。電通総研が15年に「頼りにするメディア」について調査を行ったところ、40代を境に結果が大きく分かれた。15~39歳はテレビや新聞・雑誌への信頼がマイナスとなる一方、ネットニュースやSNSはプラスだった。

一方でテレビを頼りにしているのは40代以上。50代になるとテレビ、新聞・雑誌など伝統的なメディアの信頼が総じてプラスになっている。20代はテレビ視聴時間よりもネット利用時間の方が長くなっており(総務省調べ、2015年)、メディアをめぐる“世代間ギャップ”が鮮明となっている。

すでに若者に焦点を定めた、ネット上の動画配信サービスも誕生している。テレビ朝日とサイバーエージェントが手を組み、4月に開始したインターネットテレビ局「AbemaTV」(アベマTV)では、24時間、約30チャンネルを放送している。広告収入が収益源で、誰でも無料で視聴できる。

滑り出しは好調でアプリのダウンロード数は11月2日に1000万を超え、スマホ経由で視聴する20代以下のユーザーが中心となっている。2017年にかけて200億円を番組の充実化や独自コンテンツの制作費に充てる方針で、「週間1000万人ユーザーを目指す」とサイバーエージェントの藤田晋社長は力を込める。

コミュニケーションアプリを展開するLINEが昨年12月にサービスを開始した「LINE LIVE」は、今年8月に月間視聴者数が1900万人を突破。これはスマホに番組をライブ配信するサービスだ。毎日、公式番組20本前後のほか、個人が1000本程度を配信している。視聴者がコメントを送ると画面に表示され、出演者やユーザー同士がリアルタイムに交流できるのが魅力だ。収益柱は有料スタンプと広告となっている。アベマTVやLINE LIVE以外の新興動画メディアも続々と生まれており、この中から新たなマスメディアが生まれてもおかしくない。

コンテンツの魅力をどう伝えるかがカギ

このままでは10年後、ネットに押されてテレビは「老人のメディア」になりかねない。それを食い止めるすべはあるのか。

電通総研メディアイノベーションラボ統括責任者の奥律哉氏は、「テレビのコンテンツの魅力は生きている。複数の端末から見られるよう視聴者に寄り添う必要がある」と指摘する。実際にNHKはスマートフォンをはじめとした通信端末でも番組が見られるよう、番組のネット配信を増やしている。

将来的には全番組を対象としたネット配信を視野に入れ、放送法改正や支払い義務化の可能性も含めた受信料制度全体の見直しを進めている。テレビを持たない若者も増えており、テレビ受信機を契約の対象とするNHK受信料の収入は先細りになりかねない。そうなる前にネット対応を着々と進めている。

民放も一部番組のネット配信は行っている。しかし全番組が対象となると、サーバー代や著作権処理の負担が相当額発生する。さらに番組視聴率を指標としたテレビ広告の商習慣とは異なる、ネット配信にまつわるおカネの稼ぎ方(マネタイズ)も新たに考える必要がある。

ある民放幹部は「オリンピック開催の20年までに、家庭内のテレビがどこまでネットにつながるかが焦点」と語る。テレビがネットにつながると、テレビ番組とネット動画の境目が曖昧となる。テレビがスマホと同じようにさまざまなコンテンツを映し出すディスプレイとなったとき、“メディアの王様”としてのテレビ局は安泰でいられるのか。テレビ番組とネット動画、放送と通信、さまざまな垣根を越えて、視聴者と広告費の奪い合いが過熱している。




たくさんのブログの中から、ご覧いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
北海道お土産探検隊



PPAPでのピコ太郎氏の収入はウン億円超え!?YouTubeの知られざる仕組みとは

$
0
0



こんにちは、ryoです。

最近何かと話題のピコ太郎さん。オリジナル動画である「PPAP」が世界的なヒットを記録していますよね。

そんなピコ太郎さん、もちろん相当な動画収入を得ているはずですが、実は「動画の再生数」の他にも収入源があるようで…。

そこにはYouTubeの知られざる仕組みが関係しているようですよ!

YouTubeから収入を得る仕組みとは

みなさん御存知の通り、最近よく耳にするYouTuberとは、動画投稿サイト「YouTube」にオリジナル動画を投稿する事によって収入を得ている人の事を示します。

YouTubeでは動画再生前や動画再生ページに広告が埋め込まれていて、その広告が表示された回数に応じて動画投稿者にお金が入る仕組みになっているんです。

なので動画再生数が多いほど、たくさんの収入を得られるという訳。

その金額は通常1再生あたり0.25円~1円となっていて、人気な動画ほど単価が高くなります。

今ピコ太郎さんの「PPAP」は何と8,200万再生。単純計算すると8,000万円ほどの収入を得た事に。

これだけでもすごい金額…と思ってしまいますが、実はピコ太郎さんの収入はこの5倍はあると言われているんです!

その理由は「コンテンツID」。YouTubeが2007年に導入した技術で、簡単に言うと「その動画の著作権が誰に属しているのか正確に判断するもの」と言ったところでしょうか。

これを利用する事で、自分の作成した動画に関連した動画が投稿され、再生された場合にもその収入を自分のものにする事が出来るようになったんです。



例えばAさんがオリジナル曲を作成し、投稿したとします。すると翌日、Bさんがその曲を使った動画を作成し、投稿。



通常であれば広告収入は動画を投稿した人に入るのですが、「コンテンツID」を利用しておくと、Bさんが投稿した動画でも曲の著作権はAさんにあるので、Bさんの動画の再生数から得られる広告収入もAさんのところに入るようになるというわけ。



この仕組みをピコ太郎さんが「PPAP」でも利用しているのですが、その関連動画の総再生数が何と合計約5億回にも達しているんです。

動画本編の再生数は8,200万回であった事を考えると、関連動画からの収入はその数倍に。最終的にピコ太郎さんの「PPAP」による収入は億単位となる模様ですよ。何とも夢のある話ですよね…(笑)

動画一つでここまで大きな収入を得られる時代。YouTuberになりたいと考える人が多くいるのも納得してしまいますね…w




お訪ねいただきありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
胡麻の山田製油



ホウレン草にカーボンナノチューブを組み込んで地中の危険物を検知、MIT

$
0
0

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、地面に植えたホウレン草などの植物を使って、地中の化学物質を検出する技術を開発した。ホウレン草の葉にはカーボンナノチューブ(CNT)を組み込む。検出した情報はスマートフォンなどに無線で伝達される。爆発物や土壌汚染物質の検知、警報発信に利用できる。研究論文は学術誌「Nature Materials」に掲載された。

植物に電子システムを組み込むアプローチは「植物ナノバイオニクス」と呼ばれている。植物ナノバイオニクスの狙いは、植物にナノ粒子を組み込むことによって、自然の植物にはない機能を持たせることであるという。

今回の研究では、地雷などの爆発物で使用されることの多い芳香族ニトロ化合物を検出できるように植物の設計を行った。この種の化学物質を含んだ地中の水分が植物が吸い上げられたとき、葉に組み込まれたCNTが蛍光信号を発するようにした。信号は赤外線カメラで読み取り、カメラに付帯した小型コンピュータを経由して、ユーザーにメールで知らせる仕組みとなっている。



研究リーダーのマイケル・ストラーノ氏は、この技術について「人間と植物とのあいだのコミュニケーション障壁をいかに克服するかを実証するものだ」と説明する。同氏は、汚染物質の存在や干ばつなどの環境条件を検知して警報を発信するのにも植物を利用できると考えている。

研究チームは2年前、植物ナノバイオニクスの最初の実証例として、ナノ粒子を利用して植物の光合成能力を増強したり、植物をセンサ化して汚染物質である窒素酸化物(NOx)を検知する技術などを開発していた。このときに使用した植物は「シロイヌナズナ」だったが、最新の研究ではもっと身近な植物で実証したいという狙いからホウレン草が選ばれた。

植物は周囲の環境からたくさんの情報を得ているため、環境モニタリング用の理想的なツールであるといえる。もともと土壌にはりめぐらされた根のネットワークを通して地中の水分を継続的にサンプリングし、それを自力で葉まで運んでいるので、その仕組みをそのままモニタリングに利用できる。

CNTを使って、過酸化水素、TNT火薬、神経ガスのサリンなどさまざまな分子を検知する技術の開発も進んでいる。CNTのまわりに巻きつけられた高分子が目標の化学物質と結合すると、CNTの蛍光発光が変化する性質をセンシングに利用する。今回の研究では、芳香族ニトロ化合物センサとして機能するナノ粒子をホウレン草の葉に組み込んだ。葉の内部へのセンサの設置は、光合成を行う主要な組織である葉肉にナノ粒子の分散溶液を注入することで行う。目標物の検出信号とは別に、一定の蛍光信号を出し続ける参照用CNTも同時に組み込む。爆薬センサが何かを検出した場合、2種類の蛍光信号を比較することで簡単に信号を見分けられるようにするためである。

信号の読み取りはレーザーを葉に照射することで行う。レーザーがあたると、葉の中のCNTが近赤外波長の蛍光を発するので、この蛍光をRaspberry Piに接続された小型の赤外線カメラで検出する。同様の信号検出は、普通のスマートフォンでも可能であるという(この場合、内蔵カメラに通常取り付けられている赤外線フィルターを取り外しておく)。

信号は植物から1m離れた場所に置いたカメラで検出できる。研究チームは現在、この距離をさらに延ばすことに取り組んでいる。センサ用途だけでなく、電波の受信や、色を変える能力など、様々な応用も検討されている。




いつもご覧頂きましてありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
FOBGOODS



AIの波 全産業に 中国・百度チーフサイエンティスト アンドリュー・ヌグ氏

$
0
0

 日本経済新聞社は4日スタートした連載企画「AIと世界」の一環でこのほど、米シリコンバレーで「日経イノベーションフォーラム」(メディアパートナー、フィナンシャル・タイムズ=FT)を開いた。人工知能(AI)やロボット研究の第一線で活躍する中国・百度(バイドゥ)のチーフサイエンティスト、アンドリュー・ヌグ氏、米グーグル自動運転車プロジェクトのジョン・クラフチック最高経営責任者(CEO)らが参加。「AI、ロボット、そして我々の未来」をテーマに、最新の開発動向や社会への影響、課題などを議論した。



 「かつて電気が登場すると、製造業や農業などあらゆる産業が大きく変わった。同じことがAIで起きる」。AI研究の第一人者で中国の検索大手、百度のチーフサイエンティストを務めるアンドリュー・ヌグ氏はこう予想する。

 押し寄せるAIの波に企業はどう備えるべきか。ヌグ氏は「AI研究者のコミュニティーは極めてオープンで、その成果は広く公開されている。AI研究の先頭を走る企業と同水準のアルゴリズムを開発するのは1~2年もあれば可能だし、オープンソースのソフトもある」と指摘。その上で、AIを賢くする上で欠かせないデータの整備と優秀な人材の確保がむしろ重要になるとみる。

 電気が普及し始めた当初は取り扱いが難しかったため、企業には『電気担当副社長』がいたことを引き合いに出し、「今後は『AI担当副社長』や『最高AI責任者』が必要になる」と述べた。

 AIがもたらす最も大きな社会的影響として「雇用」を挙げた。「すでに顕在化しつつあるが、AIによって自動化できる仕事の数は今後加速度的に増えていく」とした上で、「この問題を解決するためには新たな『ニューディール政策』が必要だ」との見方を示した。具体的には「AIに仕事を奪われた人を対象に、教育を受けることを条件とした最低限の所得保障の導入」を提案した。

 ヌグ氏はここ数年急速に進歩した「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれるAI技術の権威の一人で、人間の脳の働きをまねた巨大なAIソフトを開発する米グーグルのプロジェクト「グーグルブレイン」を立ち上げたことでも知られる。同プロジェクトでは大量の画像を読み込んだAIが自動的に「猫」を認識できるようになったことで話題を呼んだ。

 ヌグ氏は「ディープラーニングの価値の99%」は、「Aという入力情報からBという結論を導き出す学習能力(AtoBマッピング)」にあると指摘。仕組みは単純だが、メールを読ませてスパムかどうかを判断したり、英語の文章を入力してフランス語に翻訳させたり、様々な応用例がありうると述べた。

 AIが人間の知性を超える「シンギュラリティー(技術的特異点)」については、「サイエンスフィクションだ」と否定的な見解を示した。「2045年に起きるという見方もあるが、私には道筋は見えていない」と語った。






たくさんのブログの中から、ご覧いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
北海道お土産探検隊






IoT時代の光と影

$
0
0

 自動車や家電などさまざまなモノがインターネットにつながる「IoT」の時代が来た。不透明さを増す世界経済のけん引役にするため、どう産業を変革すべきか。落とし穴はないか。パソコンの原形を生んだ米名門組織パロアルト研究所のスティーブ・フーバー最高経営責任者(CEO)と、国立情報学研究所の高倉弘喜教授に聞いた。



■個に合うサービス磨く 米パロアルト研究所CEO スティーブ・フーバー氏

――IoTは既存の産業にどんな影響を及ぼしますか。

 「まず消費者向けビジネスの領域で劇的な変化が起きる。車から自転車、腕時計、ごみ箱までネットにつながる。その結果、それらを使う個人のニーズに合わせて最適なサービス体験を提供できる。2020年までには、電力や交通といった産業機器の分野がIoTで大きく変わる。システムの運用や保守をリアルタイムで改善できる。無駄を排除することで大きな費用の節約につながる」

 ――ものづくり企業はどう対応すべきでしょう。

 「まず物の見方、思考を変えなければならない。これから顧客に売るのは、機器そのものではなく、サービスだという認識が要る。IoTを単なる新機能の追加ととらえるのは間違いだ。製品の設計全体が変わる。当然、企業はこれまでとは異なる能力を求められる」

 「例えば家庭内のエアコン。メーカーは従来、製品の価格やエネルギー効率、冷やす力、大きさなどを競ってきた。しかし、IoTで顧客が求めるのは、快適に過ごすという体験だ。そのためには顧客が製品を使いやすいと感じるデザインや通信の技術が欠かせない。それを得意とする人材が必要だ。社内にいなければ、外部から取り込むオープンイノベーションの考え方が重要になる」

 ――IoTは人工知能(AI)と結びつき、より高度なサービスを実現するとの期待が高まっています。

 「AIを搭載したネット家電がいい例だ。音楽を聴きたいとき、調べ物をしたいとき、通販で買い物をしたいときなど、特別な操作をしなくても、話しかければ対応してくれる。好きな場所に連れて行ってくれる自動運転車もある。コンピューターが人間のパートナーになる。そういう世界に向かう」

 ――IoTによってつながる世界では、配車サービスの「ウーバー」や民泊の「エアビーアンドビー」のようなシェアリングエコノミーがさらに普及しますか。

 「そう思う。車は90%の時間は使われず駐車されたままだ。家の中にも、使われていない部屋がある。大いなる資源の無駄といえる。十分に活用されていない資源を、それを必要とする人に提供することには意義がある。シェアリングエコノミーが台頭する背景だ。センサー技術によって世の中の状況をリアルタイムで把握できるのが、つながる世界のメリット。有効活用されていない資源がどこにあるか詳しくわかり、シェアリングエコノミーが進展しやすい。環境にもやさしく、世界にとっていいことだ」

 ――ドイツが「インダストリー4.0」を打ち出すなど、IoTを巡る主導権争いが激しくなっています。シリコンバレーの今後は。

 「IoTビジネスでは、ハードとソフトを統合する能力が求められる。シリコンバレーでも面白い試みがなされ、大きな存在感がある。ソフトの中心地と思われがちだが、ハードにも果敢に取り組んでいる。テスラモーターズの電気自動車(EV)もグーグルの自動運転車も、すべてハードであり、IoTだ。ここにはスマートな機器をつくる力があり、優秀な人材もいる。電気や機械が専門のエンジニアは5~6年前に比べて需要が非常に高まっている」

 「ただ、IoTはごく初期の段階にある。シリコンバレーの先行きについて確実な予想は難しい。ものづくりの技術を持つ世界中の企業にとってチャンス到来だ」

 ――日本から大型のイノベーションが生まれにくくなっています。どうすればいいでしょうか。

 「日本人の技術力は非常に高い。目標に向かってチームが団結し、成果を上げることもできる。しかし、イノベーションを起こすには、失敗から学ぶことを受け入れる文化が大切だ」

 「『IoTは次の革命。これまでとは違う視点が必要だ』という意識を持たなければならない。それには多様な経験を積んだ人材を集めることが近道だ。シリコンバレーでは18カ月ごとの転職も珍しくない。日本でそれをやれば評価は低いだろう。2度、3度と仕事を変わっている人を企業は必ずしも雇いたがらない。何か問題のある人物なのではないかと考えるからだ。しかし現実は違う。多様な産業で働いたことのある人は、企業が新たな針路を切り開くのに役立つはずだ」

 Steve Hoover 米ゼロックス副社長を経て現職。米政府や米国内外の有力企業とIT分野を中心に幅広く研究する。55歳。



■乗っ取りで社会混乱も 国立情報学研究所教授 高倉弘喜氏

 ――IoTの世界競争の現状をどう分析しますか。

 「海外の企業をみると、いち早くつくった者が勝ち、はやらせた者が勝ちという雰囲気が強い。目立つのは米国勢の動きだ。ベンチャー企業がさっと製品化して売る。大部分は成功せずに消えるが、生き残った企業が大手に買収されるなどして新しい事業、新しい技術が立ち上がっていく。日本企業は何事にも慎重で、ベンチャーがなかなか育たない。まずはやってみようという米国流のスピードに追いつけていない」

 ――一方で、ネットに接続する機器が増えれば、サイバー攻撃の標的になる危険が高まります。

 「セキュリティーのリスクはかなり膨らんでいる。車にせよテレビにせよ、ネットワークの機能をつければ便利になるとの理由でつながり始めた。だが、車もテレビも、製品化に関わるエンジニアがネットワークに詳しくないという問題がある」

 「米国では昨年、遠隔地から乗っ取れるとわかり、大量のリコール(回収・無償修理)に発展した車の例が注目を集めた。ネットワークにつながる以上、外部から侵入される恐れがある。それを前提に設計する必要があるとの認識が自動車メーカーに欠けていた。最近、インターネットにつながる監視カメラが乗っ取られる問題も起きた」

 ――セキュリティー対策の強化が急務です。

 「海外ではようやくセキュリティーへの取り組みが広がってきた。例えば米国は、IoTのセキュリティー技術を競うコンテストを開いている。サイバー攻撃を受けたら、IoT機器が自ら瞬時に攻撃プログラムを解析し防御する。そういうシステムを大学などが競って開発する。国が資金を出し、セキュリティービジネスの卵を育てるという流れがある」

 ――企業内の情報システムを守る従来型のセキュリティー対策は、IoTに応用できないのですか。

 「ネットワークを監視し、おかしな動きがあれば警戒するというセキュリティーの基本動作は同じだ。しかし、すべてのIoT機器にファイアウオールやウイルス対策ソフトといったセキュリティー機能を持たせるのはコストが見合わず無理だろう。IoT機器は出回る数が多く、価格の安さが求められるからだ」

 「インフラ設備のセンサーなど、セキュリティー対策なしで地中に埋めてあるIoT機器もある。すぐ手の届くところになく、直そうにもコストがかさみ困難だ」

 ――車のように高価格のものならセキュリティー対策もしやすいのでは。

 「容易ではない。信頼性の高いセキュリティー製品をつくろうとすれば単価は200万円、300万円になるだろう。車の購入者は受け入れないのではないか」

 「車同士が情報を共有し安全に走る車車間通信も、ウソの情報を流す車がまじれば問題が起きる。対策として、走っている100台のうち80台が同じ情報を流していれば、おおむね信用できる情報と判断するといった仕組みは有効ではないか。1台ごとに高度なセキュリティー機器を備えるのではなく、複数の車が協力し合うほうが安上がりだ。そういう技術を編み出していく必要がある」

 ――製造業は日本の中核です。IoT時代に生き残るには何が大切ですか。

 「まず重要なのは、自分がつくる製品がどういうリスクにさらされるか、セキュリティーにも通じた人材を育成することだ。これは大学の仕事といえるだろう」

 「IoTはデファクトスタンダード(事実上の標準)がものをいう。どんなに性能がいいものを後から製品化しても、先行するデファクトに合わせざるを得ない。いまのところIoT分野で『あのメーカーの知的財産を使わないと製品化できない』といった事態は起きていないが、海外企業はそうした優位な立場をねらってくるはずだ」

 「日本の製造業は職人気質が強い。いい職人がいい道具を使っていい物をつくっているという考え方だ。しかし、スピード感を持って大量の生産を求められるIoTの競争では通用しにくい。あらゆる製品の心臓部がIoTになりつつある。そこを海外勢に押さえられれば、日本には心臓部ではなく周辺部分をつくる産業しか残らない。それを避けるため、経営者も意識を変えなければならない」

 たかくら・ひろき 名古屋大学情報基盤センター教授などを経て現職。情報セキュリティー分野の専門家。49歳。


〈聞き手から〉日本、変革の機を生かせるか

 米調査会社のIDCによると、ネットにつながる機器の数は2020年に300億台と16年比で倍増する。米クアルコムや韓国サムスン電子が巨額の企業買収を決めるなど、産業構造の変化をにらんだ動きが世界に広がる。

 フーバー氏は主に新たな価値の創出という「光」の側面から、高倉氏はサイバー攻撃リスクの高まりという「影」の側面からIoT時代を展望した。市場を切り開くにはどちらの視点も必要であり、コインの裏表の関係にある。利便性と安全性の追求が産業界には求められる。

 両氏とも「積極的に戦略を打ち出す米国に対し、出遅れ気味の日本」という見方は共通している。世界的なイノベーションが滞る日本企業は好機を生かせるか。注目だ。

 ただ、米国も「トランプ大統領」という波乱要因を抱え込んだ。世界から集める人材を活力源に高収益を享受してきたシリコンバレー。トランプ氏の移民政策や通商政策次第で揺さぶられる可能性がある。




たくさんのブログの中から、ご覧いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
白い食器のお店M’home style





車より「優れた運転手」つくる 米グーグル自動運転車プロジェクトCEO ジョン・クラフチック氏

$
0
0



 2009年から自動運転技術の開発に取り組む米グーグル。約1年前からプロジェクトを率いるジョン・クラフチック氏は「我々が目指しているのは『優れたクルマ』をつくることではなく、『優れた運転手』をつくること」と語る。完成車を自ら製造して販売するというよりも、自動運転用ソフトウエアを作り込み、自動車業界に採用を促す戦略だ。

 ハンドルもアクセルもブレーキもないプロトタイプを「運転」するのはAIだ。「運転手」としての習熟度を高めるためにカリフォルニア州など4州で重ねてきた公道実験の走行距離は最近、累計200万マイル(約320万キロメートル)を超えた。

 「世界では毎年125万人が交通事故で亡くなっている。これは140人乗りのボーイング737が毎日、1時間ごとに墜落しているのに匹敵する」。クラフチック氏はこう指摘した上で、「我々が最も重視しているのは『安全』。(AIの)運転技術にさらに磨きをかけ、十分安全になったと判断できた段階で提供を始めたい」と述べた。

 実用化のカギを握るのが完成車メーカーとの連携だ。5月には欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との協業を発表。22週間でミニバンベースのプロトタイプをつくりあげ、カリフォリニア州のテストコースで実験を始めた。

 クラフチック氏は「複数のメーカーと、いろいろな話し合いを進めている。パートナーがFCA1社にとどまらないことは間違いない」と明言する。FCAとの協業の範囲をプロトタイプの共同開発から市販車に広げるか、ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車といった他の大手との提携があるかは業界の注目だ。

 グーグルの「AI運転手」を搭載した自動運転車の最終的な姿や市場投入の時期について、クラフチック氏は「引き続き注目していてほしい」とだけ述べ、具体的な回答を避けた。

 ただ、自動運転車プロジェクトはグーグル親会社のアルファベット傘下の研究子会社X(エックス)の一部門から「近く卒業する」と発言。今後は独立したアルファベットの子会社として事業化に向けた準備を進めていく方針を明らかにした。

 自動運転技術には人間が運転に関わる程度に応じて4段階のレベルがある。グーグルは当初から人間の運転手を必要としない「レベル4(完全自動運転)」を目指しているが、ハンドル操作など運転の一部を支援する「レベル2」に該当する技術を搭載した車はすでに一部のメーカーが販売している。

 クラフチック氏はレベル2の「運転支援」技術を搭載した車が事故を起こした場合でも、「自動運転車」の問題としてとらえられてしまうことに懸念を表明。「レベル2の場合、問題を起こすのは技術というより、あくまで人間。その点は(混同しないように)注意する必要がある」と強調した。




お訪ねいただきありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
胡麻の山田製油



アマゾン・マイクロソフト・グーグルの三つ巴 「クラウド市場の覇者」は誰か?

$
0
0



IoT(モノのインターネット)社会の到来で、最大1兆ドルとも目される巨大市場が出現。その覇権をめぐって、アマゾン、マイクロソフト、グーグルによる三つ巴の戦いがついに幕を切った。

クラウドはグーグルにとって、検索広告以来で最大のビジネスチャンスだ。同社は立ち遅れているこの事業を率いるのにふさわしい人物を、何カ月も探し続けた。そんななか、常に名前が挙がる人物がいた。ダイアン・グリーンである。

シリコンバレー以外ではあまり知られていないが、IT業界では伝説の女性だ。グーグルの共同創業者ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンもスタンフォード大学院時代から親交があった。彼女の夫は同大学の著名なコンピュータ科学教授、メンデル・ローゼンブラム。夫妻は何十年もキャンパス内で暮らしている。

ソフトな口調で、温かい笑顔の持ち主であるグリーンは、まるでご近所に住む友達の母親のようだが、クラウド競争の話題になると目つきが鋭くなる。グーグルの2人の創業者と同様、彼女も野心にあふれ、技術者のメンタリティと起業家としての情熱を持ち合わせている。

ペイジとブリンがスタンフォードを休学してグーグルを創業した1998年、グリーンとローゼンブラムも3人のパートナーとともに「VMware(ヴイエムウェア)」を設立した。同社の「仮想化」製品はデータを遠隔で管理する方法に革命的な変化をもたらした。グリーンは同社で10年間CEOを務め、ピーク時の市場価値が490億ドルに達する大企業に押し上げた。

グリーンはコンピュータの天才でありながら並外れた実務能力を持ち、世界の大企業にテクノロジーを売り込むビジネスを熟知した唯一無二の人物だ。ペイジは2012年、IT業界で確固たる地位を築いていた彼女をグーグルの取締役として招き入れた。
 
取締役となったグリーンはグーグルの経営陣に対して、あるビジネスチャンスを逃していると真っ先に指摘した。「クラウド・コンピューティング」である。

企業にコンピュータの余力を貸し出すというアイデアは以前からあった。グーグルも2008年にクラウド事業を始め、スタートアップ企業が同社のデータセンターの巨大なネットワーク上でアプリケーションを開発できるサービスを提供した。だが検索や地図、モバイル、自動運転車などの開発に気を取られ、クラウド事業には本腰を入れてこなかった。

そのグーグルがクラウドに手をつけてから10年近くが経過した今、企業のテクノロジーに対する考え方や活用方法に劇的な変化が訪れている。きっかけはAirbnb、Instagram、Pinterestなどのスタートアップが次々と登場し、クラウドサービスを利用して多くの業務を行うようになったことだ。わりと最近になって、GEやNBC、シェルなどの大手企業も社内アプリケーションをクラウドに移行し始めた。

今では多くの企業がこの動きに追随する。とりわけ熱心なのは、“IoT(モノのインターネット)”を商機と捉える生産・物流大手だ。こうした企業は無数のセンサーをネットワークに接続して情報を収集し、業務の効率化を図っている。たとえば世界中の保有車両の管理や、農業ビジネスにおける土壌や環境のモニタリング、エレベーターの保守などをIoTのアプリケーションで行っている。

こうした膨大なデータの処理に、クラウドほど威力を発揮するシステムはない。全体として見れば、クラウドへの移行はPCのネットワーク化に匹敵するほど重要な意味を持ち、企業のコンピューティングにおける世代交代ともいえるだろう。

劣勢に立たされるグーグル

グーグルは20年以上もかけて世界最大級のコンピュータ・ネットワークを作り上げた。クラウドという新時代の利益を享受できる絶好のポジションにいるように見えるが、グリーンは厄介な課題に直面している。グズグズしている間に、ジェフ・ベゾス率いるアマゾンがクラウド業界を食い尽くしてしまったのだ。

ベゾスは2006年、「AWS(アマゾン ウェブ サービス)」という信じられない賭けに出た。主力のオンライン小売事業とは大きくかけ離れたクラウド事業への参入を発表し、多くの人々を困惑させた。だが結果は大成功で、AWSの成長はアマゾンにとっても驚きだった。

100万人を超えるユーザーを持つAWSの今年の売上高は、100億ドル(約1兆円)になる見込みだ。AWS単体の営業利益(第1四半期は6億ドル)でアマゾン全体の黒字を支えていることになる。

当初3つのサービスからスタートしたAWSは、現在70を超えるサービスや機能を提供するまでに拡大した。AWSを利用する顧客のサービスがインターネット全体に及ぼす影響も大きい。たとえば、「Netflix(ネットフリックス)」のユーザーがお気に入りの番組をゆったり鑑賞する日曜の夜、全米のネット通信量の約30%がAWSを経由する。ネットフリックスがAWS上で動いているためだ。

「AWSを利用すれば、ITビジネスを立ち上げるのはレゴを組み立てるように簡単」というのがアマゾンの売り文句である。

今のところアマゾンの独り勝ちとはいえ、クラウド競争はまだ始まったばかりだ。クラウドの市場規模は現在の10倍の3,700億ドル、うまくいけば最大1兆ドル程度にまで拡大すると予想されている。クラウド市場が、グローバルなスマートフォン市場に匹敵する巨大市場であることは間違いない。



マイクロソフトのCEOに就任したサティア・ナデラは、クラウド・コンピューティング部門の責任者を務めた人物。彼のリーダーシップの下で生まれ変わったマイクロソフトは、クラウド事業に積極的に投資を進め、クラウドサービス「Azure(アジュール)」でアマゾンに次ぐナンバー2の座を揺るぎないものにした。IBMは依然として市場シェアでグーグルを上回る。ほかの企業もさらなるシェア獲得を目指して、クラウド事業への投資を強化している。こうして今後数年に及ぶクラウドの覇権争いの舞台は整った。

グリーンはグーグルが劣勢に立たされているのは百も承知だが、「グーグルには勝つために必要なものがすべて揃っている」と強調する。

「何事にもへこたれない根性、豊富な資金、優れたテクノロジー。それに、私はいつもチャレンジすることを楽しんできました」

ベゾスが掲げるAWSの最終ゴールは、シンプルかつ驚くべきものだ。それは、小売り事業を上回る収益をあげること。アマゾンの経営陣がAWSの計画をひそかに練っていた10年以上前には、誰ひとりとして─ベゾスですら─そんなことが可能だとは思いもしなかっただろう。

アマゾンに追いつけるか

AWSは絶妙なタイミングで登場した。世間ではソーシャルメディアが隆盛し、モバイルスタートアップが次々と生まれていた。サーバーやデータストレージの運用・管理の煩わしさから解放してくれるAWSは、費用と時間をかけずにアプリケーションを構築したい起業家たちの間であっという間に広がった。

アマゾンの経営陣が現在取り組んでいるのは、スタートアップ企業の信用を失わずに、はるかに規模が大きい法人市場にアピールすることだ。

「我が社のほうが御社のような大企業のニーズをよく理解しています」と、大企業への売り込みに余念がないのは、眼鏡に無地の赤いポロシャツがトレードマークのヒョロっとした男性、マイクロソフトのスコット・ガスリーだ。

ガスリーは、クラウド&エンタープライズ部門の責任者としてマイクロソフトのクラウド関連事業のすべてを取り仕切っている。CEOのナデラに次ぐナンバー2のポジションにいることはほぼ間違いないだろう。ガスリーは、「アマゾンのAWSから我が社のAzureへ移行するユーザーは多い。対戦成績で見れば、我々はかなり健闘している」と話す。

マイクロソフトは30年に及ぶ法人向けサービスの実績を強調し、Office 365などの人気サービスとの抱き合わせでAzureを提供している。ガスリーは、「法人向けサービスの体制が整っている点で、マイクロソフトはアマゾンとの大きな差別化を図れる」と胸を張る。その例として、世界32カ所で展開するデータリージョン(アマゾンは13カ所)、高度なセキュリティ、世界中で高まるプライバシーへの懸念に対処するため、データの保存場所をユーザーが自由に選択できるサービスなどを挙げる。

市場シェアの差を考えれば、マイクロソフトがアマゾンを追い越すにはまだまだ時間がかかるだろう。マイクロソフトはAzureの売上高を公表していないが、アナリストはAzureの市場シェアは約9%で、AWSの3分の1にも満たないと見積もっている。

だがガスリーによれば、Azureはユーザー数と売上高において年率100%を超える成長を示し、毎月12万件のサブスクリプションが追加されているという。またITベンダー300社以上のCIOやCTOを対象に今年4月に実施されたアンケート調査では、Azureを導入する企業数が前年のAWSと比較して速いペースで増えていることも明らかになった。
 
一方、グーグルがアマゾンやマイクロソフトと肩を並べる存在になるのは簡単ではない。それでもグリーンは技術、製品、営業&マーケティングの各部門を統合し、グーグル始まって以来の独立したクラウド事業部門を新設。マイクロソフトのガスリー同様、グリーンもグーグルの優れたテクノロジー(アナリティクス、機械翻訳、音声認識、地図など)を提供することで、顧客を取り込もうと考えている。

こうした積極的な営業活動によって、グーグルはIT企業から一定の支持を得ている。AWSの顧客である音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」は今年、一部の機能をグーグルのプラットフォームに移行した。さらにグーグルはビッグデータ処理という強みを武器に、コカ・コーラやディズニーといった大手企業との契約も進めている。

しかし長期的には、クラウドの覇権争いでアマゾンの最大の脅威になる可能性が高いのはマイクロソフトだろう。マイクロソフトのAzureは一貫して高い成長率を示し、経営陣もクラウドの戦略的重要性を認識している。Azure上に新たに作られた仮想マシンの約3分の1がリナックスであることからも、マイクロソフトが徐々に「ウィンドウズ独占」というイメージを払拭しようとしていることはわかる。そして、アマゾンと互角に戦える販売体制やパートナー企業とのネットワークも着々と整えている。

AWSにも弱点はあるはずだ。20%を超える利益率を維持している同社には、「割高な料金を設定している」との批判もある。グーグルやマイクロソフトを脅威だと感じる企業は以前から多かったが、アマゾンもその例外ではない。アマゾンがオンライン小売り市場で圧倒的なシェアを誇っているため、AWSを敬遠する企業もあるだろう。

もっとも、グーグルが本当に顧客の支持を集め、マイクロソフトが多少なりともアマゾンとの差を縮められるなら、このクラウド戦争で恩恵を最も受けるのは賢明な顧客企業となるだろう。マイクロソフトのAzureに勝ち目はあるかという問いに対して、ガスリーはこう答えた。

「このクラウド競争の本当の勝者が『顧客』になればいいですよね」


ダイアン・グリーン◎ヴイエムウェアの共同創業者・元CEOとして知られる著名な女性実業家。2012年よりグーグル(現在は親会社「アルファベット」)の取締役を務め、2015年よりグーグルのクラウド部門を統括する。61歳。

ウェルナー・ヴォーゲルズ◎アマゾンの最高技術責任者(CTO)であり、AWS事業の生みの親。2014年に米ExecRank社が「最強のCTO」に選出するなど、クラウド業界で最も影響力のある人物として知られる。オランダ・アムステルダム出身。57歳。

スコット・ガスリー◎マイクロソフトの実質的ナンバー2と目される人物。クラウド&エンタープライズ部門を統括し、法人向けクラウド市場でAWSを猛追する。Webアプリケーションフレームワーク「ASP.NET」の開発者として有名。41歳。



いつもご覧頂きましてありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
伊藤農園



AI時代が到来!将棋も産業もこう激変する 羽生善治vs松尾豊

$
0
0



「AI」(人工知能)は今、第3次ブームに入っている。その立役者はディープラーニングだ。それは、人間の認知メカニズムをモデル化することによって、AIにデータを与えるだけで、何を特徴に認識すべきか、自分で判断できるようにした。

人間は子どもでも、猫を何回も見れば「ヒゲがある」など特徴を一般化して理解し、猫を認識できるようになる。この対象を認識して概念を形成するために必要な情報を、特徴量と呼ぶが、従来のAIでは人間が決める必要があった。が、ディープラーニングでは、AI自らが特徴量を取り出せるようになる。

こうした技術革新についてトップ研究者である松尾豊・東京大学准教授と、世界最先端の開発を進める米グーグル傘下の英ディープマインドを取材した経験を持ち、自身もコンピュータ将棋とのトーナメント戦へ参戦を決めた羽生善治・将棋棋士に、対談してもらった。

将棋の大局観のようなアプローチも

――英ディープマインドが開発した「アルファ碁」がイ・セドル九段を4勝1敗と圧倒しました。

羽生:読みに関しての無駄の省き方というか、引き算としての洗練のさせ方、将棋でいうと大局観のような人間的なアプローチが急速に進歩していますね。以前の計算量で、精度の低さをカバーするといった足し算の世界とは変わったと感じました。

ただ、人間でもAIでも、正しく一つの局面を評価することは最も難しいのです。人間のプロ同士でも見解は分かれ、お互いの正しさを競い合っているような面があります。AIのプログラムの間でも、同じ局面に対して、評価関数がプラス100になるものもあれば、マイナス100になるものもあるように、バラツキがあります。

松尾:イ・セドル戦当時のアルファ碁は、状態がよいか悪いか、今だったらどの手がよいかを、膨大なデータを元に計算できるようになっていました。

ですが、もう少し大ざっぱに、「この後、こう行って、こうなったら勝つんじゃないか」という思考は入っていなかったと思います。そのような、状態と行動の特徴認識をできるようになれば、羽生さんの言われる大局観につながっていくはずだと思います。ただし、その際は人間の大局観をどう定義するか、ということが問題になるでしょう。たとえば今、2勝しているから、ここはちょっとチャレンジしてよいだろうとか、もっと大きなフレームが必要になるかもしれません。

羽生:昔の人が今の将棋を見たら、怒り出すでしょう。かなり伝統的な世界ですから。たとえば昔は、穴熊で隅に囲むのは邪道というか、王道ではないからダメだというような縛りがあった。でも、その価値基準も、時代によって変化しています。

コンピュータ将棋のプログラムは、チェスのプログラムを多く取り入れています。チェスだと、ビショップとナイトがほぼイコールの価値ですが、将棋も、たとえば角と他の駒がほぼイコールで、角を捨てることを全然ためらわないんですね。そこは人間の目から見ると、ちょっと違うんじゃないかと思うことはあります。

でも、そうしたコンピュータ的な発想を取り入れて、実戦で指している棋士もけっこう増えているので、今ちょっと融合し始めているような状況です。

AIの学習はまるで伝言ゲーム

松尾:ディープラーニングは人間をモデルだけ真似しているのですが、人間の脳は相当よくできていて、かなり近いものになってもおかしくないと思います。人間の脳も、それぞれのニューロン(神経細胞)が、次の層のニューロンへ、情報を渡していく構造になっていると考えられます。

異なるタスクを処理するマルチタスクラーニングの場合、それぞれのタスクに共通して貢献するような情報を、次のニューロンに渡すことが解決につながります。なぜかはわからないのですが、複数のタスクに共通する要因のほうが真である確率が高い、という法則が成り立つのです。難しい問題に対処する場合は、簡単なものの和で構成されることが多い、という法則も成り立ちます。

羽生:AIの学習って、伝言ゲームに似ていると思うんですよ。たとえば、「今日、東洋経済で取材を受けました」と最初に入力しても、100層目では、「明日、銀座でパレードがあります」みたいな全然違う文章になったりする(笑)。なぜこんなことが起きたかを調べると、中に全然意味を理解していない人がいるので、とりあえずその人をどけておいて、ちゃんと「今日、東洋経済で取材を受けました」という文章になるように、いろいろな工夫をしているんですよね。

松尾:すごくわかりやすいですね。レジデュアル・ネットワークという手法では、多層化で生じやすくなる誤差を、バイパスを作ることで修正するように訓練するのですが、まさに3人くらい飛ばして伝言するという感じです。

ディープラーニングでは、いろいろと面白い研究が出てきています。たとえば、今まではビリヤードの球の動きをコンピュータ上で再現するだけでも、ニュートン方程式など物理モデルを作るしかありませんでした。でも、ディープラーニングを使うと、ただビリヤードの球がどう動くかというパターンを見せ続ければ、予測できるようになります。この球をこっちの方向へ打つと、こうなって、ここら辺に止まるだろう、と予測できるようになるのです。

少し前は「イチローが上手に打てるのはニュートン方程式を解いているからか」「解いていないのになぜできるんだ」みたいな議論がありました。が、ディープラーニングを使えば、ある状況を思い浮かべたとき、次に何が起こりそうかを予測し、それがよいことか悪いことかを判断して、行動を選べるようになる。これは自動運転でも同様で、今の状態で走っていくとどうなるかというシミュレーションができます。これは大きな進展だと思っています。

脳の疾患も治療できるようになる?

羽生:ディープラーニングでは、人間の脳の仕組みをモデルにしていますが、脳の構造や認識のあり方は分かっているのですか?

松尾:分かっていません。視覚の仕組みやニューロンの種類など、部分的には分かっています。ただし、それがどうマクロの挙動へつながるかというところまでは、分かっていません。

でも、興味深い手掛かりは、分かってきました。韓国サムスン電子などは、ディープラーニングによる推論をスマホでやろうと、圧縮技術を開発しています。ニューロン間のつながりで重要性が低いところは消す、似たものは同一にして間引いていくのですが、相当間引いても、あまり精度は下がりません。ただ、ある水準以上を間引くと、精度の曲線がダーッと一気に下がってしまいます。これを医者に見せると、「アルツハイマー症と一緒だ」と言われました。最初はまったく症状に出てこないのですが、途中からダーッと悪くなってしまう。おそらく人間の脳でも、同じような現象が起きているのだと思います。

米グーグルは「DeepDream」(編集部注:画像を処理させると、ディープラーニングで認識した画像の特徴量を強調して、元のデータにフィードバックさせてくれる)のアプリを公開していますが、それを使うと、いろいろとピカソ風の絵を作ることができます。これも医者に見せると、脳の病気の人で同じような絵を描く患者がいるそうです。

羽生:それは逆に言うと、そういう疾患を持った人を補佐するものを作ることができれば、治療できる可能性が出てくるということですよね。

松尾:そうなんです。そうなんです。人間の脳について、マクロの挙動までは分からなくても、工学的に「こうすれば上手くいく」と分かってくると、ある程度解釈できる可能性を広げられると考えています。

羽生:ディープラーニングの用途開発については、日本は出遅れているのでしょうか?

松尾:出遅れています。ですが、たとえばディープラーニングで動く調理ロボットを、“日本品質”で調理ができます、世界のどこでも日本食を食べられますと売り込んだら、めちゃくちゃ需要はあると思います。これは、ロボットを作れて食べ物がおいしい国じゃないとできませんから、日本は得意なはずです。

自動車産業以上に大きくなる可能性

羽生:世界中に回転寿司を作るっていうことですね、目指すは(笑)。

松尾:そういうことです。ロボットはどんどんレベルが上がるはずで、そうなると見本は銀座にある三つ星のお店などにできます。そこから学んだノウハウを回転寿司に入れて、どんどんおいしくすることができるのです。

日本の農業もレベルが高いですから、それを機械化して、海外へ持って行くことができれば、自動車産業以上に大きい産業になる可能性を、秘めているのではないかと感じています。




いつもご覧頂きましてありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
伊藤農園



日本酒がおいしくなった理由、構造変化の5大要因

$
0
0

昨今の日本酒人気は、おいしい酒が偶然、登場して始まったものではない。実は、その裏では大きな構造変化が起きている。新しい造り手による日本酒が、飲む状況や飲む層を変えたのだ。



 ニューヨークで1日に8000億ドルを動かす仕事から、酒造りの道へ……。静岡県藤枝市にある青島酒造の青島孝専務・杜氏はファンドマネジャーから、家業の酒造りに戻った異色の経歴の持ち主だ。

 青島専務の酒造りはストイックを極めている。何しろ、一年のうち半分は蔵にこもっているのだ。眉毛を含めて、ありとあらゆる体毛をそって造りに臨むため、外出もできなくなる。

 一日の睡眠時間は3時間程度で、嗅覚が鈍るという理由で、牛肉と豚肉は食べない。テレビや新聞、インターネットなどの情報をチェックする時間は一切ないという。

 そして、一年の残り半分は、近隣の稲作農家と一緒に原料米作りを担う。無農薬のため朝早くから毎日、雑草を取りにいく。仕事以外では、ほとんど遠出もしない。この生活を20年近くも続けている。

 華やかな海外での金融業務から、酒造り一筋へと生活は一変しても、「まったく苦しくない。楽しくてしょうがない」と笑う。

 こうしてできた日本酒は「喜久醉」というブランドで出荷される。喉越しがすっきりとしていて、きれいな味わいだ。日本酒ファンに人気で、品薄になっている。

 実は、青島専務のような日本酒の造り方は、一昔前には考えられなかった。

 というのも、日本酒は経営者である蔵元と、製造を担当する杜氏とで、きっちり役割が分かれていたからだ。お互いの領域には口を出さないというのが常識だった。

 例えば、東京の大企業から家業を継ぐために戻ってきた跡取り息子が「味をもう少しすっきりさせてほしい」と主張しても、杜氏はそれを聞き入れない。

 杜氏は、夏は農業に携わり、冬は酒造りに向かう技能集団のような人たちだが、日本には幾つかの流派がある。蔵元は杜氏組合に杜氏の派遣を依頼するが、腕のいい杜氏が派遣されるとは限らない。

 最終商品に対して蔵元は深くは関与できない状況だったのだ。

経営者自身が製造に乗り出し
品質が向上

 ところが、この20年ほどで状況が大きく変わり始めた。家業を継いだ若い蔵元たちが、自ら杜氏の役割を担い、製造に関わり始めたのだ。

 背景には、日本酒の衰退が進む中で、酒の質、味を変えたいという蔵元の思いが強くなったことがある。

 経営が悪化し杜氏を雇う金銭的余裕がなくなったという事情もあった。また、計測機器が発達し、かつては杜氏の勘に頼っていた造りを今や数値で判断できるようになったことも大きい。

 蔵元が製造を兼任することで、蔵元の考えている酒造りの方針をダイレクトに反映できるし、意思決定のスピードも速くなる。

 その結果、おいしい酒が増えているのを見た、他の跡取りも「それでは自分も継いでみよう」と蔵に戻る連鎖が起こっているのだ。

 製造に乗り出した蔵元の経歴はさまざまだ。東京農業大学の醸造科学科を卒業したり、醸造研究所で研修したりするなど、ある程度、基礎を学んだ者だけではない。2~3年ほど杜氏の下で作業を見よう見まねで学んだ者もいる。

 また、理系だけでなく文系の学部の卒業生もいるし、女性もいる。職業の経歴も、有名な大企業や音楽事務所勤務、フリーライターなど多彩だ。

 もちろん、従来の杜氏が関わる方法で名酒を造る蔵元もいる。背景や考え方が異なる、さまざまな蔵元が百花繚乱の様相を呈しているのだ。その結果、日本酒の味は激変し、また多様化したといえる。

 かつて、うまい日本酒といえば「淡麗辛口」といわれた。居酒屋などで「辛口をお願いします」と言う客は今でも多い。

 というのも、以前は日本酒の造り方に多様性はなく、甘い酒といえばべたべたして、悪い印象が強かったからだ。また、日本酒の「酸味」は一段低いものと見られてもいた。従来は「酒の中に雑菌が入った」というネガティブな要因で酸味が発生していたからだ。

 ところが、今、日本酒ファンに受けているのは、「甘さ」と「酸味」だ。新世代の蔵元たちは、あえてそこを狙っている。

 といっても以前のようなべたべたした甘さや、不快な酸味ではない。すっきりとした飲み口にさらっと香りと甘みが乗っていたり、酸味も洋食に合うようにと、計算した上で加えられている。



 蔵元が製造に乗り出したこと以外にも、日本酒をめぐる構造変化は起きている。

 中でも世代交代の影響は大きい。ほとんどの日本酒の蔵元は地元の名士である。このため、ある程度、経験を積んでから就任するのが当たり前だったし、杜氏も60代以上が多かった。

 ところが、蔵元が製造を兼ねることもあり、やり方を変えようとする気概を持った若手が蔵元に就任するようになったのだ。



 三重県名張市の「而今」。日本酒ファンの間では、飲みたくても飲めないほど入手困難な人気の酒だ。この酒を造るのは蔵元であり、杜氏でもある木屋正酒造の大西唯克社長。39歳と若い蔵元だ。

 上智大学を卒業後、乳製品メーカーで働いた後、10年前に家業を継いだ際は、廃業寸前だったという。そこで、杜氏を廃し、自ら造ることで、徹底的に工程を見直した。清潔さにもこだわることで、酒質を向上させたという。



 そして、常識にとらわれない改革の旗手として、今、日本酒業界で最も注目を浴びているのは、秋田県の新政酒造の佐藤祐輔社長だろう。こちらも年齢は39歳。

 「日本酒界のスティーブ・ジョブズ」と評される佐藤社長はとにかく、新しいことが大好き。焼酎向けの麹を日本酒に転用してみたり、あえてアルコール度数が低くなるように醸造してみたりと、数百年間続いた日本酒の造り方をがらりと変えようとしている。

 さらに、佐藤社長は、県内の近隣の他の四つの蔵元と組んでNEXT5というチームを結成。

 お互いに厳しく品評し合い、集まれば技術面での情報交換や討議をする。さらに、5人でイベントを開催するなど、情報発信にも努めている。

 実は、この情報発信も重要だ。「造り手が海外にいるワインだけでなく焼酎と比べても、この20年間、日本酒の蔵元は東京などで頻繁にイベントを開催してきた。これが、消費量が落ち込む中でも人気を下支えしてきた」(東北地方の蔵元)のだ。

 何百人も集まるイベントのほか、10人程度しか集まらない飲食店主催のイベントに人気の蔵元が参加することは珍しくない。

 そして、流通も変化している。問屋任せだった流通を捨て、自ら東京の有力酒販店に一升瓶を担いで訪れ、取り扱いを始めてもらう蔵元も増えているという。

日本酒は
日本の農業と密接不可分

 味が劇的に変化し、情報発信も盛んになったことで、日本酒の飲まれ方は変わった。

 刺し身や焼き魚といった和食とは従来、相性が良かったが、酸味や甘みが強い日本酒が出てきたことで、肉料理や洋食にもマッチするようになった。

 また、食中酒に向いているものや、お燗をして飲むもの、すっきりとした飲み口のもの、あるいは、かなり余韻の残るものといったように、料理や飲む相手の好みに合わせて選択可能だ。

 こうした日本酒の多様性を、イベントや雑誌などで知る機会も増え、女性や若い人も飲むようになってきたのだ。また、ワイン愛好家が日本酒に興味を示すようにもなってきている。

 質が向上しワインのように食中酒としても楽しめるだけに、気になるのは、海外進出だ。事実、海外進出を考えている蔵元は多い。ただし、課題は多い。

 現在、人気を集めているほとんどの蔵元が、国内の出荷ですら、追い付いていない。次に海外に出荷した際の保存の問題もある。多くの日本酒は冷蔵でのきちんとした管理が求められる。

 何より重要なのは文化的側面だ。ワインは目の前の畑から原料のブドウを収穫し醸造する。基本は地産地消であり、その地の文化、風土に根付いている。原材料をかき集めて造ることが、海外の消費者にとっては工業製品のようなイメージを想起させるのではと、懸念する蔵元は多い。

 それを意識して、今、多くの蔵元が地元重視に変わってきている。水だけでなく、米を地元で無農薬栽培したり、地元由来の酵母を使うようになってきているのだ。

 そもそも、日本酒は、日本の文化でもある。地域の風土や農業と密接に結び付いている。

「日本酒を飲むことで日本の米作り、農業に貢献できる」と説くのは、酒食ジャーナリストの山本洋子さんだ。



 2018年度に廃止が決まった減反政策だが、現在でも100万ヘクタール以上の水田が使われていない。

 純米酒一升瓶を1本造るのに必要な水田は3平方メートル。日本人が日本酒をよく飲むようになり、高値で取引される酒造好適米が、休耕田で栽培されるようになれば、一気に、日本の農業と地方経済は活気づくだろう。

 山本さんの計算によると、全ての休耕田で酒造好適米を栽培し、純米酒を造れば、一升瓶で年間36億本できる。途方もない数字に思えるが、日本の成人人口で割れば1人当たり年間36本。つまり、1日当たり1合なのだ。

 純米酒よりも米をさらに削って造られる純米吟醸、純米大吟醸なら、さらに本数が少なくなる。

 味の面ばかり注目されるが、日本酒は生活や農業と密接につながっている飲み物だ。ぜひ、そのことを頭の片隅において、一献傾けてほしい。









ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
京都・宇治・お茶の森半




桑田佳祐が12月1日放送のNHK 『SONGS』に出演し、落語に初挑戦することがわかった。

$
0
0



桑田佳祐が12月1日放送のNHK 『SONGS』に出演し、落語に初挑戦することがわかった。

番組内では、曲の演奏の合間ごとに紋付袴姿で落語家になりきった桑田が「波乗亭米祐(なみのりていべいすけ)」として登場。ニューシングル「君への手紙」にかけ、手紙にまつわる小噺を披露する。

ファンの間では落語好きで知られている桑田は、以前から「いつか落語をやってみたい」とスタッフにも漏らしていたというが、この度ついに実現。収録に立ち会った番組スタッフによると、初挑戦とは思えないほど流暢な高座だったとのことで、初挑戦とは思えないさすがのパフォーマンスにスタッフ一同から大きな拍手が沸き起こった。

落語ファンでも思わずニヤリとしてしまうような笑いのエッセンスとともに、最後には少しホロっとくるような場面もあるとのことで、見逃せない内容となっている。

さらに、番組内では「君への手紙」に収録される4曲をすべて演奏。「あなたの夢を見ています」「メンチカツ・ブルース」の2曲は本邦初披露となる。濃密な25分間に期待して放送を待っていてほしい。

【番組情報】

NHK 総合テレビ『SONGS』
12月01日(木)22:50~23:15放送(予定)

シングル「君への手紙」

2016年11月23日発売
【初回限定盤】
VICL-38200/¥1,296+税
【通常盤】
VICL-38201/¥1,296+税
【アナログ盤】
VIJL-61700/¥2,037+税
<収録曲> 
01. 君への手紙
02. 悪戯されて
03. あなたの夢を見ています
04. メンチカツ・ブルース



たくさんのブログの中から、ご覧いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
白い食器のお店M’home style




米Uberが自動運転の長距離トラックでビール5万本を配送!

$
0
0
Uberの子会社「Otto」が、自動運転トラックで5万本のバドワイザービールの長距離配送に成功したそうです。



このトラックは、完全自動運転が可能な「レベル4」を満たしているそうですが、複雑な交差点が存在する一般道ではドライバーが運転を担当。ハイウェイに入ると、ドライバーは運転席後方の仮眠用スペースに移動して自動運転中の様子を確認。

トラックは安全な車間距離を維持し、システムが必要と判断した際に車線変更を実行、コロラド州フォート・コリンズからコロラド・スプリングスまでのハイウエイ部分120マイル(約190km)を自動運転で走りきったそうです。

米国の運送業界では、需要に対して4.8万人のドライバーが不足しているそうで、2024年には17.5万人にまで拡大すると予想されています。



Uberはこの点に着目し、今年の8月に約7億円で「Otto」を買収。

「Otto」の自動運転システムは一式約300万円程度で、一般的なA/T仕様の大型トラックにも取り付け可能といいます。



同社はサンフランシスコ地域に6台のテスト車両を配置しており、システムの更なる改良に向けて実験走向を繰り返している模様。

日本でも運転手不足に伴う過重労働により、バスや大型トラックの事故が絶えず、こうした自動運転システムは乗用車よりも先に実現すべきなのかもしれません。




ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
【産地直送】大間マグロを東京築地に卸す店 魚忠





世界初CO2を100%回収できる火力発電、米国で2017年に実証運転

$
0
0
米国テキサス州で建設中の「超臨界CO2サイクル火力発電システム」の実証運転が2017年に始まる。東芝と米国の3社が共同で開発を進めているシステムで、発電時に排出するCO2を循環させて高効率に発電できる世界初の技術を実装する。東芝は中核の発電機の製造を完了して米国に出荷した。

 化石燃料の産業復興を目指すドナルド・トランプ氏が米国の大統領に就任しても、火力発電に伴うCO2(二酸化炭素)の排出量を削減する取り組みの重要性は変わらない。米国の石油・天然ガス産業の中心地テキサス州で、CO2を100%回収できる火力発電プラントの建設計画が着々と進んでいる。

 「超臨界CO2サイクル火力発電システム」と呼ぶ最先端の発電技術を世界で初めて運転させる計画だ。開発メンバーは東芝のほか、米国最大の電力・ガス会社であるエクセロン(Exelon)、大手プラント建設会社のCB&I(Chicago Bridge & Iron)、超臨界CO2サイクル火力発電の技術を開発したベンチャー企業のネットパワー(NET Power)の4社である。このうち東芝はシステムの中核になる発電機と燃焼器の開発・製造を担当する。

 4社は2017年内にパイロットプラントを完成させて実証運転を開始する予定だ。東芝は発電能力が25MW(メガワット)のタービン発電機の製造を完了して、米国に向けて11月1日に出荷した(図1)。この発電機を使った実証運転の結果をもとに、商用レベルの250MW(25万キロワット)級の火力発電システムを開発することが次の目標である。



 超臨界CO2サイクル火力発電システムは燃料のガス(天然ガスか石炭ガス)と酸素を燃焼させてタービン発電機で発電する。この点は従来のガス火力発電と同様だが、発電に伴う排気ガスを冷却してCO2と水に分離することができる。さらにCO2を高圧の状態で回収して燃焼器に送り、ガスや酸素とともに燃焼させて発電に利用する仕組みだ(図2)。



 東芝によると、現在のガス火力発電で主流になっているガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル方式(ガスタービン複合発電)と同等の高い発電効率になる。コンバインドサイクルと比べて1つのタービンで発電機を構成できるため、プラント全体の規模が小さくなって発電コストを低減できるメリットがある(図3)。しかもCO2を分離・回収する設備が不要になる。



超臨界のCO2は気体と液体の中間

 CO2は温度が31℃以上、圧力が74気圧(7.4メガパスカル)以上になると、気体と液体の中間的な性質を示す超臨界と呼ぶ状態になる。超臨界CO2サイクル火力発電システムでは、30メガパスカルの高圧の状態でCO2を回収できる。

 超臨界状態のCO2は温度と圧力を変化させると、気体のような拡散性と液体のような溶解性を発揮する。拡散性によって燃料のガスと一緒に燃焼させることや、溶解性を生かして他の物質に吸着して回収することも可能だ。

 日本政府は火力発電に伴うCO2排出量を削減するために、次世代の火力発電技術の開発促進に力を入れている。2030年をめどに石炭火力で約3割、ガス火力で約2割の削減が可能な発電技術を実用化する計画だ(図4)。



 それでも大量のCO2を排出することから、CO2を分離・回収する技術の開発を並行して進めている。最大の課題は分離・回収にかかるコストを低減させることで、2030年までに現在と比べて4分の1程度まで引き下げることを目指している(図5)。



 2030年の時点で実用化できる最先端の火力発電技術とCO2分離・回収技術を組み合わせた場合に、100万キロワット級の発電設備でCO2分離・回収コストは年間に50億円程度になる見通しだ。発電事業者にとっては次世代の火力発電によって燃料費を削減できるメリットがある一方で、CO2を分離・回収するコストは小さくない。

 そうなるとCO2を100%回収できる超臨界CO2サイクル火力発電システムは有望だ。政府が策定した次世代の火力発電のロードマップには、今のところ超臨界CO2サイクル火力発電は盛り込まれていない(図6)。テキサス州の実証運転の結果によっては、2030年に向けた有力な火力発電技術の1つになる。






ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
京都・宇治・お茶の森半




世界のCO2排出量は、2014年から「増えてない」

$
0
0

世界の二酸化炭素排出量は2014年から16年にかけて、「横ばい」を続けているという調査結果を英国の大学が発表した。問題がなくなったわけではないが、世界が経済成長と温暖化対策の両立を実現しつつあることを示す結果といえるだろう。



毎年増え続ける二酸化炭素排出量をこれまで抑えることができたのは経済的不況だけだったが、2014年から15年にかけての排出量は、GDPの値が世界的に上昇しているにもかかわらず、基本的に横ばいだった。そして、16年の二酸化炭素排出量の早期予測も明るい見通しのようだ。

英国イースト・アングリア大学のコリーヌ・ルケレ率いる研究者チームは、『Nature Climate Change』に発表した新たな論文で、地球における炭素収支の最新状況を明らかにした。

研究チームは、2015年における世界の二酸化炭素排出量に関して、最初の予測である前年(14年)比「0.06パーセントのマイナス」から「0.6パーセントのプラス」へ、わずかながら上方修正した。だが2000年代前半から二酸化炭素の年間排出量が急上昇を続けていたことを考えると、「横ばい」という結果は大きな意味をもつ。

2016年における排出量については、中国の排出量を前年比で約0.5パーセント低く(主な理由は石炭の使用量が2パーセント近く減ったこと)、アメリカの排出量を約1.5パーセント低く推定した。そのほかの地域からの排出量をおよそ1パーセント増として、全体的な増加率は約0.2パーセントにとどまると研究チームは推測している。つまり、排出量は2年にわたって横ばいを続けることになる。

だからといって、問題がなくなったわけではない。二酸化炭素が大気中に蓄積されるのを止めたければ、世界的な排出量をほぼゼロに抑えなくてはならないが、地球はいまでも年間約99億トンの二酸化炭素を排出し続けている。

1870年からの累積排出量は現在、推定でおよそ5,650億トン。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2013年の報告書では、今後地球の気温上昇を2度未満に抑えるには、累積排出量が8,000億トンを超えないようにしなければならないとしている。

加えて、炭素収支に影響を及ぼすエルニーニョ現象などが発生することで、排出量は年ごとに変動する。2016年は、エルニーニョが発生したほかの年と同様、CO2濃度が約3ppm(パーツ・パー・ミリオン)とわずかながら上昇し、400ppmあまりとなった。これは陸上生態系が吸収する炭素量が、通常よりも少なかったためだ。




ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
澤井珈琲Beans&Leaf



中国アリババ、インドで築く「鉄の三角形」 Eコマース、ファイナンス、ロジスティクス

$
0
0


2016年6月の記事

Economic Timesが報じたところによると、アリババはインドの物流会社であるDelhiveryとXpressbees Logisticsと話し合いの場を設け、早ければ4〜6か月以内に取り引きを開始する予定だという。また他の物流会社GoJavasやEcom Expressも、アリババとタッグを組むことに関心を示しているとのこと。これが実現すれば、アリババCEOジャック・マー氏が言うところの「鉄の三角形」が形成される公算が高くなりそうだ。

鉄の三角形と言われる3つの頂点

ジャック・マー氏曰く、Eコマース、ファイナンス、ロジスティクスの3つの分野を抑えることで、インドにおいて「鉄の三角形」を形成することができるという。すでに第一の頂点となるEコマース分野においては、2015年8月にソフトバンクらと共同でSnapdealに5億ドルの追加出資を行っており、その時価総額を50億ドルにまで引き上げた。Snapdealはインドの3大Eコマースサイトの一つであり、FlipkartやAmazon.inと並び注目度の高い企業だ。さらに今年2月にはSnapdealの強豪Flipkartに対しても出資を打診していたと報じられている(これに関しては金額やその他条件について同意に至っていない)。さらにこれに留まらず、アリババは自社独自のEコマースサイトをインドで展開するためにチームを編成しているようだ。

さらに第二の頂点となるファイナンス分野において、アリババとその関連会社のAnt Financialは、インドのモバイル電子決済サービスのOne97の40%を取得している。One97はインドでPaytmと呼ばれる決済サービスを運営。Ant Financialが中国にて運営している支付宝(Alipay)と同様のサービスだ。

インドではネットバンキングが発展しておらず、クレジットカード持たない人にとってオンラインでの買い物は著しく不便な状況だ。ネット上で買い物をした場合、その代金の決済のためにわざわざ銀行の窓口に出向き振込を行い商品の到着を待たなくてはならない。Paytmのような決済サービスを利用することで、自身の口座からあらかじめチャージしておき決済が可能、インドの決済インフラに大きな影響を与えている。Paytmは現地で絶大な人気を誇り、すでに顧客数は2,000万人を超えていると言われている。

第三の頂点、ロジスティクス分野へ

そして今回、アリババは第三の頂点となるロジスティクス分野に歩を進めている。

インドでは物流インフラの整備が追いついておらず、これがEコマース普及の大きな妨げとなっていると言われている。注文した商品が指定した日時に到着しないことは多々あり、場合によっては最終的に届かないことも。このような背景から多くのユーザーがオンラインでの買い物に「Cash on Delivery」と呼ばれる代金引換制度を利用する。これであればクレジットカードを持たなくても買い物ができ、注文した商品が届かなくて不安になるという心配もないからだ。

DelhiveryとXpressBeesはインドを代表するロジスティクス企業で、中でもDelhiveryはインド全土に16のフルフィルメントセンターを持ち、直近の資金調達でも2億9,700万ドルの評価額を得ている。アリババは早ければ今年末にオンラインマーケットを立ち上げる予定と言われており、いよいよ鉄の三角形のすべての準備が整いそうだ。




ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
京都・宇治・お茶の森半




「近赤外線でがん細胞が1日で消滅、転移も治す」驚きのがん治療法を開発したのは日本人研究者!

$
0
0


近赤外光線免疫治療法──米国立がん研究所(NCI:National Cancer Institute)の小林久隆・主任研究員が開発した新しいがん治療法です。現在、臨床試験が進められており、2~3年後の実用化を目指しています。

がん治療法には、「外科手術」「放射線療法」「化学療法」の3つがありますが、外科手術は患者の身体への負担が大きく、ほかの2つは副作用があり、転移・再発防止などにも課題があることはご存知の通りです。

これに対し、小林さんの開発した新しい治療法はがん細胞の死滅率が極めて高く、対処が難しい転移がんにも有効です。

小林さんがウェブメディア「Mugendai(無限大)」に語ったところによると、近赤外光線免疫治療法は以下のようなメカニズムでがん細胞を消滅させるとのことです。


小林:この治療法は、がん細胞だけに特異的に結合する抗体を利用します。その抗体に、近赤外線によって化学反応を起こす物質(IR700)を付け、静脈注射で体内に入れます。抗体はがん細胞に届いて結合するので、そこに近赤外線の光を照射すると、化学反応を起こしてがん細胞を破壊します。

近赤外線は、波長が可視光と赤外線の中間に位置する光です。治療には近赤外線のうち、波長がもっとも短く(700ナノメートル:nm、1nmは10億分の1メートル)エネルギーが高い光を使います。IR700はフタロシアニンという色素で、波長700nmの近赤外線のエネルギーを吸収する性質を持っています。その化学反応で変化したIR700ががん細胞の膜にある抗体の結合したたんぱく質を変性させ、細胞膜の機能を失わせることによって1~2分という極めて短時間でがん細胞を破壊します。その様子を顕微鏡で見ると、近赤外線の当たったがん細胞だけが風船がはじけるようにポンポンと破裂していく感じです。



小林さんによると、この治療法には副作用がほとんどなく、必要な設備や薬品は安価。患者や家族の負担軽減や医療費の削減に大いに貢献するはずです。

詳細はこちら
http://www.mugendai-web.jp/archives/6080



ご訪問いただき、本当にありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
【産地直送】大間マグロを東京築地に卸す店 魚忠




中国越境ECのリアル~13億人の巨大市場を狙え(前編)

$
0
0
中国でEコマース(EC)市場の躍進が止まらない。「独身の日」とされる11月11日。恒例の大型セールイベントで中国最大手のアリババは、24時間の総取引額が178億ドルと昨年を大きく上回り最高記録を更新した。年率20%以上の成長を続ける中国ECの背景には、経済社会の発展があり、このトレンドは当面継続するとみられている。

一方で、テクノロジーや物流体制の進化は、ECをクロスボーダー化させた。いわゆる越境ECだ。日本のメーカーや小売業にとっては、越境ECを活用して海外の顧客を獲得できる。そこでも、中国の購買力は圧倒的だ。

電通イージス・ネットワーク(DAN) 中国のCEO 山岸紀寛氏と、ECに明るい電通プロモーション・デザイン局神野潤一氏が、中国EC市場の現状と越境ECのこれからを語った。



BtoCの発展に見る質的進化

山岸:中国に赴任して3年半になりますが、EC市場の拡大は止まらない、という印象を受けています。

神野:GDPの伸びは鈍化しているといわれていますが、中国ECの年率成長率は非常に高い水準を維持しています。年率30%以上の成長を続けており、2015年にはBtoCとCtoC総額で65.6兆円に到達。BtoCだけでも38.8兆円と日本の約3倍です。6.8億人といわれるインターネット人口を背景としたもので、この動きはまだまだ続きそうですね。6.8億人といっても、普及率はやっと半数を超えたというレベルなのでまだまだ成長の余地がありそうです。

山岸:全体的なネット人口の拡大に加え、アリババやJD.comというEC大手が内陸部にもサービス領域を拡大していることが、市場成長に拍車を掛けています。

神野:中国は世界最大のEC大国で、その規模や成長性に目を奪われがちですが、質的にも進化を遂げていますね。その一つに、以前は主流であったCtoC市場の規模をBtoC市場の規模が上回ったことがあると思います。

山岸:ご指摘の通り質的な進化が目覚ましい。BtoCの発展は、実は中国人ユーザーは価格を求めるだけではなく「安心・安全」を求めているということの表れだと思います。何でも買える状況になってきている今、質の高い取引が求められている。

神野:質の高い取引とは?

山岸:CtoCが主流だったころは偽物の問題も多かった。あるいは、きちんと商品が届かないなど物流も未成熟だった。BtoCが主流になることで、信頼性の高い法人が売り手の中心となり、ビジネスの基盤も拡充し、取引に対する安心感が高まってくる。安心してお買い物ができる環境が整ってきています。

神野:生活におけるモバイルの活用もますます進化しているようですね。

山岸:Baidu、アリババ、テンセントの「BAT」と呼ばれる中国インターネット大手3グループは、モバイル上でチャット、予約、決済、ショッピングなど、さまざまなサービスを展開しています。タクシーの予約から仲間同士の食事代の割り勘まで、モバイルを使ってその場でできてしまう。WeChatやAlipayが生活のあらゆるものと連携している感覚です。




神野:生活のプラットフォームとしてモバイルの重要性が増してくると、必然的に「お買い物はECで」という方も増えてきますね。

ECサイトはブランディングやコミュニケーションの場

神野:ところで、中国の方は新しいものを取り入れることに積極的な印象があります。ECが発展する土壌の一つともいえると思いますが。

山岸:それは大いにあると思います。便利なものは何でも使ってみようという気質がある。開発する側も、確立されたテクノロジーでなくとも「まずはやってみよう」という気持ちがあるので技術の進化が目覚ましい。逆にいうと、顧客を引きつけるためには常に新しい技術や仕掛けを取り込んでいかないといけない。

神野:最近の動きではどのようなものがありますか?

山岸:例えば、ライブストリーミングECという手法が、少し前から広まっています。中国の若い世代は他国と比べてもモバイルでのビデオ視聴が盛んで、ライブストリーミングというコミュニケーション手法が流行しています。ライブストリーミングは、一般の方が日常を切り取った映像をライブで配信しながら視聴者とインタラクティブなやりとりをするというもの。これにECの要素を加えたのが「ライブストリーミングEC」です。テレビショッピングを思わせるところもありますが、特徴的なのがキーオピニオンリーダーと呼ばれる日本でいうパワーブロガーのような人たちが、実際に売り場を訪れて商品を購入している様子などをライブ配信したりする。その影響力がすさまじく、ワイワイ盛り上がりながら、短時間で億単位の売り上げにつながることもあります。

似たようなもので、ブランデッドイベントという手法もあります。こちらはタレントなどを活用して、タイアップコンテンツをライブストリーミングするもの。ライブでリアリティーがあるところが非常に受けがよく、ライブストリーミング市場の成長をけん引しています。私たちが今夏にアリババのプラットフォーム上で実施した菓子メーカー・オレオのブランデッドイベントでは、450万人の視聴者を記録しました。

神野:同様の手法は日本でも見られますが、浸透度にだいぶ差があるように感じます。テクノロジーという点ではトレンドはありますか?

山岸:やはり、VR(仮想現実)は大きく注目されていますね。VR市場は急拡大が予想されており、2015年には2000億円程度であった規模が、2020年には8兆円を超えるとの予想も出ています。具体的な成功事例はこれからですが、VRを活用した取り組みはこれからの1年、どんどん出てくると予想しています。

神野:ECというものが単なる売り場ではなく、ブランディング、あるいは、コミュニケーションの場として活用されていると感じます。日本でも同様の傾向はありますが、一歩先をいっていますね。

(後編に続く)



いつもご覧頂きましてありがとうございます。


楽天市場
Amazon アマゾン
FOBGOODS



Viewing all 1779 articles
Browse latest View live


Latest Images